改正情報処理促進法では、どのようなことが新たに定められたのでしょうか。大きなポイントの1つに「デジタルガバナンスコード」の導入があります。
デジタルガバナンスコードとは、企業経営における戦略的なシステムの利用方法の指針(ガイドライン)のことです。その指針とは「今後の成長に向けたビジョンの構築と社内外への共有」、「ビジョン実現に向けたデジタル戦略の策定」、「デジタル技術を推進するための体制構築」、「適正な予算管理」、「実行したデジタル戦略の評価」の5つです。
具体的にいえば、まずは国がデジタルガバナンスコードを定めることで、各企業へDXの取り組みを促進させます。各企業はそれを受け、データやデジタル技術を活用した価値を生み出す戦略を策定、デジタル技術を活用・推進するために必要な人材を育成・確保したり、あるいは外部組織を活用して、DX体制を構築します。さらに、IT予算を適正に配分してリスクコントロールしつつ、デジタル戦略の評価と改善を進めます。
さらに、このデジタルガバナンスコードを用いて、DXに対して優良な取り組みを行っている企業を評価・認定する制度がスタートすることも決まっています。それが「DX格付」という制度です。
DX格付は、経産省が第三者や専門家の評価を参考にしたうえで、DXを実践する企業を客観的に格付けし、評価する制度です。格付けをすることで、その企業が国内外から投資を受けやすくなったり、優秀な人材が集まりやすくなるなどの効果が期待されています。
この制度が始まる背景には、IoTやAIなど、情報技術の急速な発展によって、産業構造やビジネスモデルが急速に変革していることがあります。厳しい国際競争を勝ち抜いていくために、企業価値の向上や競争力の強化に結びつく攻めのIT投資を促進する必要がある、という政府の狙いがあります。
各事業者からの申請の受付は2020年秋頃を予定しております。現時点では詳細は決まっていませんが、この格付けがスタートすることで、自社のDXがどのレベルまで進んでいるのかを把握するひとつの指標になるといえるでしょう。
DX格付制度の審査事務はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が担当。電子署名を利用した申請が可能となる予定です。