次に欠かせないツールが、「タイムスタンプ」です。
タイムスタンプとは、電子文書に正確な時刻情報を加えて暗号化等の措置を取ることです。特定の時点から文書が改ざんされていないことを証明できるため、国税関係書類の保存や知的財産保護の証拠保全に資すると言われています。
最近では、建築や医療の分野においても利用が進んでいます。建築図面やカルテ等の文書は法律によって長期保存が義務付けられていますが、両分野のガイドラインではタイムスタンプを付して電子保存することが認められています。政府は、その他の分野でも利用を拡大するため、各省庁に対して同様の規定を設けるように働きかける方針です。
しかし、その他の分野を見てみると、タイムスタンプの利用状況は全体の33.2%にとどまっており、先ほどの電子署名に比べると普及が遅れています。電子署名のような公的な認定制度がないため、国際取引において信頼性が欠けるという問題や、サービスの永続性に不安が残るという課題があるためです。
そこで政府は、電子署名と同様に、一定の基準を満たすサービス・事業者を公的に認定する制度を設ける方向です。もしサービスが廃止された際には、他企業にスムーズに移行するための措置を整備し、永続性を担保することも議論されています。