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120年ぶりの債権法改正でビジネスはどう変わる?
2020.03.31

知っておきたい法改正のポイント第17回

120年ぶりの債権法改正でビジネスはどう変わる?

著者 田中 靖子

 2020年4月1日から、新しい債権法(民法)が施行されます。

 債権法は、契約のルールを定めた法律です。現在の債権法は、明治29年に制定されてから、一度も実質的な変更がされていません。さすがに今の時代の社会情勢に合わなくなってきたため、2017年に120年ぶりの大改正が公布され、この4月から施行されます。

 改正によって、ビジネスの現場にどのような影響があるのでしょうか?ビジネスリーダーが知っておくべき法改正のポイントを紹介します。

ビジネスに不可欠な「約款」のルールを新設

 企業にとって朗報なのが、定型約款に関する規定の新設です。

 現在のビジネス取引では、約款を用いた契約が欠かせません。インターネット通販の利用規約や保険約款など、日常生活で目にする機会も多くなっています。しかし、現行の民法には約款に関する法律がないため、トラブルが多発しています。特にオンライン取引では、顧客がきちんと規約を読まないままに契約をすることが多く、裁判での紛争に発展するケースも珍しくありません。

 そこで改正法では、「定型約款」のルールを新設しました。今後は、定型約款を契約の内容とする旨をあらかじめ顧客に「表示」すれば、個別の条項について合意したものとみなされます。つまり、顧客が規約をきちんと理解したかどうかに関わらず、規約を読む機会を顧客に与えた場合は、企業が約款の有効性を主張できます。

 約款の内容がよほど不合理である場合は、無効となる可能性が残っていますが、消費者の利益を著しく害するものでなければ、原則として有効です。

 企業が約款を変更する手続きもスムーズになります。現在の法律では、企業が一方的に約款を変更することが認められていません。しかし実際には、多数の顧客から個別に了承を得ることは困難を伴います。

 改正後は、規約の変更が合理的である場合や、顧客の利益を害さない範囲で規約を変更する場合は、企業が一方的に約款を変更できます。

 顧客の利益を害するおそれがある場合は、あらかじめ顧客に周知することが必要となりますが、その手段として、メールやインターネットによる周知方法も認められています。

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