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厳しい状況にある国内スマホメーカーの生き残り策とは
2020.01.16

ケータイ業界の最新動向に迫る第74回

厳しい状況にある国内スマホメーカーの生き残り策とは

著者 佐野 正弘

 日本のスマートフォンメーカーは、国内でアップルにシェアを奪われただけでなく、最近では携帯電話会社の大幅値引き規制や、低価格・高品質を掲げた中国のスマートフォンメーカーの台頭で、非常に苦しい状況にある。果たして、生き残るための道は残されているのだろうか。

国内メーカーを苦境に追い詰める行政の値引き規制

 現在も激しい競争が続いているスマートフォン市場の中で、年々存在感を失っているのが日本のスマートフォンメーカーである。かつて多数存在した携帯電話メーカーも、現在はシャープ、富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)、京セラ、ソニーモバイルコミュニケーションズの4社にまで減少。国内でも存在感が急速に低下している状況だ。

 そのことを最も象徴しているのが、「Xperia」ブランドで知られるソニーモバイルコミュニケーションズ。同社は、かつては国内でアップルと競うほど高いシェアを獲得していたのだが、スマートフォン事業の赤字が続き販売台数が急減。今では一部の調査で、国内販売台数シェアが「その他」の一部に分類されるほどにまで落ち込んでしまっている。

 長年にわたる携帯電話会社のiPhone販売優遇によって、米アップルが圧倒的なシェアを獲得するなど、海外だけでなく主戦場である日本市場でも苦戦していることが、この苦境の大きな要因であることに間違いない。だが現在、一層国内メーカーを苦しめる要因となっているのは、総務省が推し進めてきた端末値引き規制であろう。

 日本の携帯電話会社はこれまで、毎月の通信料金を原資としてスマートフォン自体の価格を大幅に値引くという販売手法に力を入れてきた。だがこの販売手法は、携帯電話の加入者が増えている黎明期には、普及を促すという意味で大きな役割を果たしたものの、市場が飽和するにしたがって、端末を買い替える人だけしか得をしないという不公平感を与えることや、通信料金の引き下げが進まないといった問題を生むようになった。

 それを改善するべく、総務省はここ数年来、端末値引きに次々と規制を加えていった。その極めつけとなったのが2019年10月に実施された電気通信事業法の改正である。この法改正によって、通信料金に紐づいた端末の値引きそのものが禁止され、紐づかない場合であっても、値引き額の上限は2万円までに制限されてしまったのである。

 一連の行政施策によって、携帯電話会社は従来のように10万円前後するスマートフォンのハイエンドモデルを、実質0円で販売するという手法を取ることができなくなった。このことはもちろん、携帯電話会社にスマートフォンを提供しているメーカーの販売数にも大きな影響を与えている。特に大きな打撃を受けているのが、日本市場が主戦場であり、海外でのシェアが小さく、しかも企業体力が弱い国内メーカーなのである。

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