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なぜ「HUAWEI nova 5T」は、米制裁下でもリリースできたのか?
2019.12.13

ケータイ業界の最新動向に迫る第73回

なぜ「HUAWEI nova 5T」は、米制裁下でもリリースできたのか?

著者 佐野 正弘

2020年は米制裁が緩和されるか?

 とはいえ、今後はどうなるかは、まったくわからない。

 実はファーウェイ・テクノロジーズは今回、HUAWEI nova 5Tを投入した一方で、同社にとってより重要なモデルの投入を見送っている。それは「P」シリーズと並ぶ、同社のフラッグシップモデル「Mate」シリーズの最新機種「HUAWEI Mate 30」シリーズだ。

 最上位モデルとなる「HUAWEI Mate 30 Pro」は、側面がカーブし、ベゼル(枠)がほとんどない高級感のあるデザイン、30倍ズームが可能で夜景や動画の撮影に強い点が特長だ。さらに、HUAWEI nova 5Tより一層高い性能を持つ4つのカメラを搭載し、カメラ機能を強化。そして5Gにも対応した最新チップセット「Kirin 990」も搭載している。フラッグシップに相応しい内容に仕上がっており、発表時からその性能の高さで話題となっていた。

 しかし、こちらの機種は、米国からの制裁後に開発されたモデルであるため、GMSを搭載できない。中国や欧州など、既にMate 30シリーズが販売されている国々では、GMSの代わりに、ファーウェイ・テクノロジーズ独自のアプリや、独自のアプリストア「AppGallery」をまとめたHMS(Huawei Mobile Service)を搭載して販売されている。

 日本でも、同社のMateシリーズは、毎年11〜12月頃に発売される傾向にあった。しかし、GMSを搭載できないことが消費者に与える影響が大きいこともあってか、同社は2019年中にMate 30シリーズの投入はしないと判断を下した。新機種をHUAWEI nova 5Tのみに留めたのである。

 しかしながら、米国の制裁がいつまで続くかは分からない。それでも同社は、中国だけでなく、世界的にスマートフォンの販売を拡大させたい考えを持っている。今後も制裁が続くようであれば、日本でもMate 30シリーズ、あるいは今後の新機種に関して、HMSのみを搭載する形で提供してくる可能性があるだろう。

 実際同社は、HMSをプラットフォームとして強化するため、日本をはじめ世界中のアプリ開発者に10億ドル(約1085億円)の支援をするプログラムを実施するなど、アプリ開発者からの支持獲得にも力を入れている。

 2020年には、HMSがどこまで強化されるのか、そしてどのような形でファーウェイ・テクノロジーズ製のスマートフォン新機種が登場するのか。それとも、制裁が緩和され、新機種でもGoogleが搭載できるようになるのか。スマートフォン業界は、年を明けても、ファーウェイとGoogleの関係で大きく左右されそうだ。

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