一方で、「何を話せばいいのかわからない」というマネジャーもいます。
話す内容が思いつかないのは、視野が狭くなっている証拠です。そんな人には、まずは外に出ることを勧めます。
部下の仕事がうまくいかないのは大抵、広い視野で物事を見渡せなくなっているときです。マネジャーまでずっと会社にいて、外から情報が入らない状況を作ってしまっては、組織がどんどん内向きになってしまいます。
だから私は、積極的に外に出るようにしています。マネジャー自身がいろいろな人に会い、知見をインプットすることで、組織の視野を外へと広げていくのです。
具体的には、知り合いに誘われた勉強会やセミナーには必ず行きます。また、話題になっているものはひと通りチェックします。雑誌からベストセラー本、視聴率が高いテレビ番組まで、ざっと目を通し、知り得た情報を社内に発信していくのです。
しかし、ただ伝えるだけではマネジャーとして半人前です。部下の心には響きません。「伝える」を「伝わる」に変えるには、情報という“点”を、次のアクションにつながる“線”にして話す必要があります。
部下や組織を前に話をするときは、その情報がどんな仕事の、どの場面で使えるのかまで話します。そのために、インプットするときは同時並行で、部下や組織の課題解決に役立つ要素をじっくり見極めます。
たとえば、モチベーションを上げるためのセミナーに参加したとします。聴衆の中には、大いにやる気になったり、興奮したり、感動して泣いたりする人がいます。
私はいつも冷静に、これらのセミナーで起きていることを分析します。来ている人たちは何に影響を受けているのか。主催者がこんな言葉を使うのはなぜか。その場で、頭をフル回転させながら考えるのです。
そして、「商談では、この内容が生かせそうだ」「こんな話をすると、取引先が聞く耳を持ってくれる」といった具合に、日々の仕事内容などと紐付けるのです。