「強いリーダーシップを発揮できないマネジャーはダメだ」「必要なのは論理的思考」――。巷には、さまざまなマネジャー信仰が溢れています。しかし、プルデンシャル生命保険で支社長などを歴任した八木昌実氏は、「結果を出し続けるマネジャー像は、一般的に言われている姿と異なる面が多々ある」と話します。
部下から支持を集めるマネジャーと、そうでない人にはどんな違いがあるのでしょうか。また、優秀なマネジャーになるには、どのような心がけが必要なのでしょうか。できるマネジャーの見極め方を八木氏が語ります。
「部下を引っ張るリーダー」には限界がある
「マネジャーが前面に立ち、部下をぐいぐい引っ張っていく」
マネジャーというと、日本ではこうした「強い人物像」を真っ先にイメージするのではないでしょうか。確かに、組織がまだ小さい頃は、強力なリーダーシップを発揮する人は欠かせない存在です。皆さんの周りにも、「俺についてこい」「言う通りに動け」というタイプのマネジャーが、1人や2人はいることでしょう。
しかし、私がプルデンシャル生命のマネジャーになった頃、周りを見渡していてある事実に気づきました。それは、「強いマネジャー」には、組織が大きくなるにつれて限界が訪れるということです。
強さばかりを誇示する人は、いつしか周りから「強がっている」と見られ始めます。小型犬がワンワン吠えているのと同じです。そして、そんなマネジャーほど、陰で部下からバカにされていたり、悪口を言われていたりします。私は、そんな失敗例を数多く見てきました。
他方、一見弱々しく見えるマネジャーほど、長期的かつ安定的に結果を出していました。必要以上に出しゃばらないし、偉そうにしない。その代わり、部下の話を丁寧に聞き、必要に応じてサポートし、一方的に信じて任せる。部下からすると、「私たちがしっかり支えなくては」という気持ちになります。私は、こんな人たちを「応援されるマネジャー」と定義しています。