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この機を逃すな!コンタクトセンターの在宅勤務を進めるべき理由
2020.06.19

AI時代を生き抜く「本物」のコールセンター運営法第16回

この機を逃すな!コンタクトセンターの在宅勤務を進めるべき理由

著者 熊澤 伸宏

在宅勤務化がもたらす、これだけのメリット

 まさに“ぶっつけ本番”で始まった在宅勤務ですが、その壮大な実験が、以下に示す数々のメリットを気付かせてくれるきっかけとなりました。

(1) 緊急時対策

 在宅勤務は、コロナショック以前のBCP(業務継続計画)やDRP(災害復旧計画)で策定したどんな施策よりも、業務の継続性における最も高い効果が期待できます。どんなタイプの災害にも有効であり、在宅勤務化を図ること自体がBCP/DRPだと言っても過言ではありません。

(2) 人的リソースの拡大

 地理的な制約がなくなることで、優れた人財を世界中から確保することができます。家族の転勤や育児・介護、通勤苦による離職が減り、仕事を辞めずに好みのリゾート地に移住することもできます。求職者が増加する一方、離職率は減少し、人手不足の解消につながります。広範な地域に人財を確保していれば、不測の業務量変動に柔軟に対応でき、緊急時対策もより強化できます。

(3) スケジューリングの「超」柔軟性

 通勤する必要がないことで、「スプリットシフト」(朝と夕方など1日の中で勤務時間を分割)、「フレックスシフト」(特定期間における合計勤務時間の範囲内で、1日の勤務時間の長短を変動)などが可能になります。突発的なスケジュールの変更や残業の要請に対応しやすくなり、始終業時間や休憩時間、ランチタイムも柔軟に運用できます。これらの効果で、エージェントのスケジューリングの効率性が格段に向上し、リソースの利用効率も上がるので人件費の削減にも寄与します。時間や場所の制約を受けない多様な働き方の実現は、まさに「働き方改革」を体現するものと言えるでしょう。

(4) ワークライフバランスの向上

 特に都市部のセンターの勤務者にとって、通勤苦からの解放はあらゆる面において多大な効果をもたらします。柔軟なスケジューリングは、従業員のプライベートや育児・介護などと仕事の両立がしやすくなります。ストレスの軽減や病欠の減少にもつながり、心身両面における生活の質の向上が図られます。

(5) 顧客サービスの向上

 柔軟なスケジューリングや人財リソースの拡大により、コンタクトセンターの営業時間の拡大が可能となります。地域や時間を問わず優れた人財を確保していれば、優秀なエージェントが間断なく顧客応対することができるようになり、サービス品質の向上が期待できます。

(6) 生産性向上

 例えば、2013年の米スタンフォード大学の調査によれば、在宅エージェントの生産性が13%向上したことが報告されました。これは、病欠と休憩時間が減少(9%)し、その分、時間あたりの応答数が増加(4%)したことによります。このように欧米のコンタクトセンターにおける多くの調査では、総じて在宅勤務による生産性向上効果が報告されていますが、日本の場合は、逆のケースが少なくないのも事実です。これは、集中困難な居住環境や、在宅勤務に対するネガティブな報道の多さなどが影響していると言えそうです。

(7) コスト削減

 オフィススペースの縮小による不動産コストの削減は、在宅勤務による最も短期的かつ具体的に表れる効果です。オフィス賃料をはじめ、家具、什器、備品、保険、管理費、通勤費、住宅費、社宅費などの節減が期待できます。例えば東京23区における一人あたりの月間の平均賃料は7万円前後であることから、単純に言えば、50名のセンターの半数が在宅勤務化すれば、不動産コストだけで年間2,100万円の節減となります。この他、オンプレミスのシステムのクラウド化、人的リソースの利用効率向上などもITコストや人件費などの削減に寄与します。

(8) 環境負荷の軽減

 道路混雑の緩和などを通じて二酸化炭素の排出削減などに貢献します。NASAの衛星データによると、今年3月の二酸化窒素による大気汚染レベルが、2019年3月に比べて30%減となったことが報告されています。また、通勤しないことで、新型コロナウイルスの感染拡大防止に貢献することは言うまでもありません。

 以上8点がコンタクトセンターを在宅勤務化するメリットですが、実際に在宅勤務化を進めるに当たっては、いくつかのポイントに注意する必要があります。後編では、在宅勤務化の課題と構築のポイントについて紹介します。<続く>

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