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コールセンターの運営に不可欠のパフォーマンスレポート、基本の3点セットとは?
2020.04.01

AI時代を生き抜く「本物」のコールセンター運営法第15回

コールセンターの運営に不可欠のパフォーマンスレポート、基本の3点セットとは?

著者 熊澤 伸宏

「リソース使用状況レポート」のデザイン

 表6に「リソース使用状況レポート」の事例、その評価指標の定義と計算式を表7に示します。

 このレポートは、エージェントの勤怠状況、稼働状況、およびシュリンケージの測定・管理に活用します。使用する評価指標は、業務の違いに影響を受けないので、コールセンターごとのデザインの違いは少ないでしょう。

 このレポートで重要なのが、出勤率に対する考え方です。一般に、人事上の出勤率には有給休暇が含まれます。また、病欠など予定外の欠勤は、慣習的に有給休暇扱いとして処理されます。つまり、人事上の出勤率には、従業員が実際には出社していない時間も含まれることになります。

 しかし、コールセンターのオペレーションの現場には、それは適しません。予定したスケジュール通りに勤務することが、エージェントの第一義的な使命であるからです。

 したがって、コールセンターでは、エージェントが実際に出社した時間で出勤率を評価する必要があるのです。そのために、有給休暇や欠勤がスケジュール済であったかどうかも重要です。

 表6の事例では、人事上の出勤率を「出勤率」、コールセンターとしての“実出勤率”を「勤務時間遵守率」と表記して、両者を管理できるようにしています。

 もうひとつ、このレポートで重要なのがシュリンケージです。コールセンターの要員計画を策定する上で、「トータルエージェント数」(実働人数にシュリンケージの要素を加味した「要在籍人数」)を算出するのに不可欠であるとともに、エージェントのサービス品質に強く影響するミーティングやトレーニング時間の確保のために、シュリンケージを戦略的に計画する必要があり、そのためのツールとしてこのレポートが必要です。

※シュリンケージに関しては、本連載のこちらの記事で詳しく解説しています。

既製のダッシュボードに頼らない

 優れたコールセンターには必ず上述のようなパフォーマンスレポートが存在し、マネジメントのコアツールとして日常的に活用しています。それに対し、旧態依然のコールセンターにはそれがなく、いわゆる“勘と経験”に頼った運営に留まっているのがほとんどです。

 その一因として、最近のコールセンタープラットフォームのアプリなどが標準で提供している美麗なデザインのダッシュボードやレポートがあります。日常の運営は勘と経験で成り行きに任せに行い、時折ダッシュボードでその結果だけを“眺めて”済ませてしまうのです。

 しかし、センターごとにニーズの異なる評価指標が“既製品”と完ぺきに合致することは、まずありません。

 また、最初から用意された“答え”だけを見ていても、それに至るプロセス(データソースや計算式など)を理解していなければ、原因の特定やギャップ分析などができず、PDCAサイクルを回すツールとして機能しません。無理に既製品で済まそうとしても、必要な情報の一覧性に欠けるなど、効率が悪く、早々に頓挫してしまいます。

 したがって、既製品に頼るのでなく、それらは“データライブラリー”と考えます。そして、その中から自社のニーズに合ったデータを取り出して、オリジナルのパフォーマンスレポートに反映させます。
もしプラットフォームにカスタマイズの機能があれば、それを活用します。

 質の高いセンター運営のためには、そうした加工作業を行ったうえで、今回取り上げたパフォーマンスレポートの“3点セット”を揃えることが重要でしょう。

※本稿では紙幅の都合でインバウンドコールに絞って解説しましたが、その他のレポートや評価指標については、拙著『コールセンター・マネジメントの教科書』で詳述しています。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年3月25日)のものです。

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