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コールセンターのサービスレベル達成には「スケジュール遵守率」が鍵
2020.01.28

AI時代を生き抜く「本物」のコールセンター運営法第13回

コールセンターのサービスレベル達成には「スケジュール遵守率」が鍵

著者 熊澤 伸宏

「スケジュール遵守率」(じゅんしゅ率)とは、コールセンターのエージェントが、割り当てられた顧客応対業務のスケジュール通りに従事したかどうかを測定し、評価するための指標です。

 本連載ではこれまで12回にわたって、コールセンターの業務量の正確な予測、最適なエージェント数の算出、戦略的なスケジュールの策定のための方法論について解説してきました。
しかし、そのような方法論を駆使して、どんなに完ぺきなスケジュールを作っても、肝心のエージェントが、スケジュール通りに働いてくれなければサービスレベル目標を達成することはできません。

 エージェントがスケジュールを遵守できない原因はいろいろありますが、まずはその実態を客観的なデータとして把握・検証することが必要です。そのために用いる指標が、スケジュール遵守率なのです。

スケジュール遵守率を軽視できない2つの理由

 欧米をはじめとする諸外国のコールセンターでは、スケジュール遵守率を、サービスレベル目標の達成のためには決して軽視できない重要な指標として考えています。それは、以下に述べる2つの点において、スケジュール遵守がコールセンターのマネジメントに大きな影響を与えるからです。

 一つ目は、顧客に提供するサービスへの影響です。

 表1は、エージェントの離脱が顧客サービスに与える影響を示しています。1時間に250コール、平均処理時間が240秒で、サービスレベルの目標が20秒以内80%という条件の場合、必要なエージェント数は21人です。

 ところが、ここからわずか1人減るだけで、サービスレベルは10%下がり、放棄率や平均応答時間は倍増してしまいます。

 二つ目は、コストに与える影響です。

 表2はスケジュール遵守率の違いによるコストへの影響を表しています。

 1日の顧客応対業務スケジュール時間が8時間、年間オペレーション日数が365日、エージェントの時給を1,200円とすると、スケジュール遵守率が95%の場合、毎日24分の「ロスト時間」(エージェントがスケジュールを離脱することにより失われる時間)が発生します。これを金額換算すると、エージェント数が10人のコールセンターでは、年間約175万円、20人の場合は350万円、50人で876万円、100人で1,752万円となります。

 この金額はエージェントの基本給のみであり、実際にはこの他に、顧客の待ち時間の増加による通信費の増加、放棄の発生による逸失利益の増加、リピートコールの増加によるさらなるオペレーションコストの増加などが発生します。“失われるコスト”と“増えるコスト”がともに膨らんで、コストに与える影響がどんどん大きくなります。

 以上のように、スケジュール遵守率はとても軽視できるレベルでない影響があるにもかかわらず、日本では話題になることは滅多にありません。その存在すら知らないコールセンターの管理者も少なくありません。

 なぜなら、日本人にとって、「仕事の時間は守って当たり前」であり、「今さら“いい大人”に指導することではない」といった精神論で済まされてしまうため、スケジュール遵守率を管理するという具体的な行動に至らないのです。

 ところが現実には、ほとんどのコールセンターが、エージェントの遅刻、欠勤をはじめとするスケジュール遵守に関わる問題に悩まされているのもまた事実です。

 コールセンターの管理者は、上記のような影響をしっかり認識して、精神論で済ませるのでなく、客観的なデータとしてスケジュール遵守の実態を把握・検証して、必要な対策を講じることが重要です。

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