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従業員が突然逮捕された!どうする?
2019.12.18

ビジネスに潜む法律の落とし穴第4回

従業員が突然逮捕された!どうする?

著者 田中 靖子

 薬物犯罪を始めとする芸能人の逮捕が続き、ドラマやバラエティー番組の撮り直しによる損害賠償が話題となっています。2019年にはNHKの大河ドラマに出演する俳優の逮捕が相次いだことから、同局は定例会見において「契約の見直しを検討する」と発表し、リスクマネジメントを強化する姿勢を示しました。

 芸能人に限らず、突然の逮捕によってビジネスに支障が出ることは、いかなる企業にも起こりうることです。酔っ払って他人に怪我を負わせてしまったり、重大な交通事故を起こした場合など、何の前触れもなしに従業員が逮捕される要因は、日常に潜んでいます。

 従業員の逮捕によってビジネスが滞った場合、企業はどのように対応すべきでしょうか?そのことが原因で取引先から契約の打ち切りを宣告された場合は、応じなければいけないのでしょうか?

 今回は、従業員が突然逮捕された場合を想定して、企業の損害を最小限に抑える対処法を紹介します。

逮捕されても、プロジェクトが進められれば責任を負わない

 従業員が逮捕された場合の企業の責任は、「代わりの従業員がカバーできるか」がポイントとなります。

 逮捕された従業員が、プロジェクトにおいて欠かせない任務を負っており、代わりの従業員では穴埋めが出来ない場合は、プロジェクトの中止・変更を余儀なくされます。つまり、自社の都合により契約が履行できなくなるため、中止・変更による損害は、逮捕された従業員が所属する企業の責任となります。

 テレビタレントや俳優の逮捕は、まさにこれに該当します。その人物の個性に着目して出演依頼が行われるので、代替できない任務に当たります。そのため、芸能人が逮捕された場合は、所属事務所が責任を負うことが基本となります。

 たとえ代わりの従業員が業務を引き継いだとしても、引き継ぎに時間がかかってスケジュールに遅れが生じた場合には、企業は遅延による損害を負担しなければいけません。

 企業が責任を免れるのは、スムーズに代わりの従業員が引き継ぎを行い、スケジュールに何ら支障が出なかった場合に限ります。例えば、「逮捕された社員がいるような会社とは取り引きしたくない」という理由は、法的に有効な主張ではありません。このような理由で契約破棄された場合には、契約破棄の無効を争うことができます。

 ビジネスの場では、取引先と有効な関係を維持するために、法的には義務でないものの、契約破棄に応じることがあります。取引先との信頼関係を最優先にしたい場合には、契約破棄もビジネス戦略として正当な判断です。「誠意として応じる」ことを強調し、誠実な姿勢を示すことは、企業の信頼を早期に回復させ、長期的には企業の利益につながります。

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