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“リーダー然”とした上司は、部下から慕われない
2020.01.31

海外論文に学ぶビジネスのコツ第20回

“リーダー然”とした上司は、部下から慕われない

著者 前野 智子

リーダーがチームの一員にならないと、チームは機能しない

 今回の実験によると、自分を「リーダータイプ」と評価した隊員は、指揮官からはリーダーと見なされていたものの、他の隊員たちからはリーダーと認められていなかったことになります。論文内では,このねじれた状況は、実際多くの組織にも当てはまるパターンだと指摘されています。つまり,リーダー然とした振る舞いをする人は、上司からはリーダー適任と思われて昇進し、組織を率いるポジションに就くものの、部下からはリーダーとして認められず、チームが機能不全に陥ってしまうという状況です。

 リーダーがリーダーとして機能するためには、チームメンバーに「リーダーも自分たちと同じ集団にいる」と思われることが不可欠だ、と論文執筆者のキム氏らは分析します。イギリス海軍での実験でも、「リーダータイプ」の隊員が票を集めなかったのは、集団の中で一線を画す能力や資質を示す人に、他の隊員たちが「自分たちのリーダー」という気持ちを持ちにくかったのではないか,というのです。

 リーダーがチームメンバーからの支持を得るコツは、主語として「I(私)」ではなく「We(私たち)」を使うことだといいます。リーダーが自分たちと同じ価値観、興味、経験を共有している存在であり、「私たち(リーダー自身も含む)」のために行動している、とチームメンバーに実感させるのです。逆にリーダーの振る舞いが「リーダー自身」や「彼ら(リーダーを含まないチームメンバー)」のためのものと認識されれば、リーダーとチームメンバーの関係性は機能しなくなります。

優れたリーダーになるには、リーダーシップよりもまずフォロワーシップから

 リーダーシップを「目標を掲げ、意思決定をし、結果に責任を持ってチームを導いていくもの」と定義するならば、フォロワータイプの人が持つ「目標の達成に向けて、チームが上手く回るようメンバーへの主体的な働きかけや貢献を行う」という特性は、フォロワーシップと呼ぶことができます。このフォロワーシップを持たず、リーダーシップだけを発揮しても、チームメンバーからはいつまでも「自分たちとは違う人」と見なされ、本当の意味ではリーダーと認められないままです。

 リーダーシップを成り立たせるには、まず集団の中で「優れたフォロワーである」と見なされ、チームメンバーに信頼される振る舞いを習得することが不可欠だ、とキム氏らは指摘します。優れたリーダーになるためには、リーダーシップを磨く前に、まずフォロワーシップを磨くべきなのです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2020年1月28日)のものです。

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