新型コロナウイルスの流行により、コロナ前とコロナ後の社会は大きく変化することが予想されます。これから直面せざるをえない「With/Afterコロナ」の経済環境において、企業はどうIT戦略を再考し、遂行していけば良いのでしょうか。
前回は、大手企業が発表した2020年の業績予想や、IDC Japanの調査データに基づく2020年のIT市場予測などを取り上げましたが、そのどちらも前年の数値を下回る、悲観的な数値が予想されています。
しかし、ITRが2020年5月12日に発表した「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」の結果では、新型コロナウイルスの影響で、企業のIT戦略が「進む」という予測が立てられています。
今回は同調査を元に、コロナ後の「ニューノーマル(新たな日常)」において求められる、新たなIT戦略について予測したいと思います。
コロナ対策で、約7割の企業がIT戦略遂行を「加速」
ITRによる「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」は、国内企業でIT戦略の策定やIT実務に関わる担当者を対象に、2020年4月24日から同月27日にかけて実施されました。
同調査によると、新型コロナウイルスの感染対策を受け、約7割の企業がIT戦略遂行を「加速する」と回答。企業活動におけるITの重要性があらためて確認される結果となっています。
緊急事態宣言発令に伴う経済活動自粛による、自社のIT戦略の遂行(デジタル化の進展)への影響については、「大いに加速すると思う」が27%、「やや加速すると思う」が44%となり、合計で71%が「加速する要因になる」と回答しています。
一方、減速を見込む割合(「大いに減速すると思う」と「やや減速すると思う」の合計)は10%を下回っています。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動自粛が自社IT戦略の遂行に及ぼす影響
出所:ITR 「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」(2020年4月調査)