新型コロナウイルスの影響は、ITの市場にもマイナスの影響を与えています。IDC Japan は2020年5月7日、新型コロナウイルス感染症の最新状況を考慮した国内ICT市場予測のアップデートを発表しました。IDCの調査によると、2020年の国内IT市場(支出額ベース)は、前年比6.1%減で、27兆8,357億円と予測しています。
2020年における国内IT市場(支出額ベース)の製品セグメントごとの前年比市場成長率は、
・スマートフォン/PC/タブレットなどのDevices:マイナス24.3%
・サーバー/ストレージ/IaaS/ネットワークなどのInfrastructure:マイナス3.9%
・Software:0.6%
・IT Services:マイナス2.8%
・Telecom Services:マイナス1.2%
と予測しています。
特に、DevicesやInfrastructureのハードウェア市場は、サプライチェーンの混乱拡大や、ユーザー企業側の出社自粛などによる受け入れ体制への影響が拡大し、大幅な下方修正となっています。

出所:IDC Japan 新型コロナウイルス感染症の影響を考慮した国内ICT市場の前年比成長率の予測アップデート 2020.5.7
IDCでは、今後の状況次第で「Optimistic(楽観的)シナリオ」と「Pessimistic(悲観的)シナリオ」も想定しています。
Pessimistic(悲観的)シナリオでは、2020年には世界主要地域全般レベルでの感染の抑制と経済活動の正常化が実現せず、感染の収束と経済の回復が2021年中盤以降に持ち越されるというシナリオです。これにより。前年比成長率はマイナス9.6%まで落ち込み、今後の状況次第ではさらなる成長率低下の可能性もあると予測しています。
一方、Optimistic(楽観的)シナリオでは、危機管理、働き方改革、社会保障や行政のデジタル化などのニーズから、企業、政府、消費者レベルでDX投資が活性化されるというシナリオです。これにより、2020年における前年比成長率はマイナス3.8%程度に収まると予測しています。
Pessimistic(悲観的)シナリオも視野にいれつつ、Optimistic(楽観的)シナリオを想定し、自社のDX投資に向けた戦略を検討していく時期にきているともいえるでしょう。
このように2020年度のIT市場は、新型コロナウイルスの影響により厳しくなることが予想されていますが、一方で別の調査では、企業のIT戦略は「加速する」と予想されています。その調査については、次回紹介します。<続く>