DX推進の枠組みと、ITシステム構築の枠組みに関する定性指標を解説しましたが、最後に、DX推進、ITシステム構築の取組状況に関する定量指標について触れたいと思います。
ITシステムの構築に関する定量指標では、自社の現状を理解するためにITシステム構築の取り組み状況を表す経営指標の設定がポイントとなります。たとえば、各企業の判断で数値の定義付けをし、3年後の目標値を定め、毎年の数値を計測しながら、必要なアクションを取って進捗を管理するといったことがあげられます。
定量指標で特に重要なのが「予算配分」です。IT予算の内訳をレガシーシステムの運用コストである「ラン・ザ・ビジネス予算」を減らし、DX推進の「バリュー・アップ予算」の比率をあげていくとう目標値を設定することも重要です。
DXの目的はビジネスでの競争力強化です。DXによって経営がどのように変わったか、経営指標などを活用し、競争力強化が実現できているかを、毎年、定量費用を算出することにより、到達度合を管理することもできるでしょう。また、DXの取り組み状況はデジタルサービスへの投資額や割合、DX関連のプロジェクトや業務プロセスのデジタルカイゼン率といったことも、定量指標としてあげられています。
ユーザー企業が2025年の崖を克服するためには、これまで紹介してきたDX推進指標をツールとして上手く活用し、レガシーシステムの刷新と、DX実現の基盤となるITシステム構築を推進していく具体的なアクションが必要です。
ただし、最終的なゴールは、2025年の崖とDX推進ではなく、DX推進を通じて自社の競争力を高め、ビジネスの成功につなげていくことです。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、企業業績の下方修正も相次いでいます。こういった時期だからこそ、企業の競争力をあげ、新しいビジネス創造のドライバーとなるDX推進の価値が問われることになるでしょう。第4回では「2025年の崖」を克服するためポストオンプレミスでのシステム選択と、最適なデータ活用について解説します。