2020.03.31
エバンジェリストが解説「5分でわかるITトレンド」第3回
「2025年の崖」を克服するための支援ツールとは?
著者 林 雅之
システム部門はブラックボックスの見える化を
DX実現の基盤となるITシステム構築への定性指標では、ユーザー企業が既存のITシステムにどのような見直しが必要であるかを認識し、対応策が講じられているか、といったことが重要となります。
多くのユーザー企業が部門ごとに個別最適でシステムを構築し、過剰なカスタマイズでITシステムのブラックボックス化が進んでおり、まずは、その対応策を講じないと「2025年の崖」は克服できません。
自社のIT資産の全体像を把握できていないケースも多く、たとえば、システムの利用状況をアプリケーション単位で把握するなど、必要性のない、もしくは利用されていないアプリケーションやシステムを廃棄するなどの「IT資産の分析と評価」や「IT資産の仕分けとプランニング」が不可欠となります。
IT資産の仕分けとプランニングを通じて、自社の非競争領域を整理します。非競争領域では標準パッケージや業種ごとの共通プラットフォームを利用し、カスタマイズをやめて標準化したシステムに「業務を合わせる」ことも必要になってきます。
その一方で、自社の競争領域を特定し、その領域においてはデータやデジタル技術を活用し、それに適したシステム環境を構築するといったメリハリも重要となります。
こういった一連の取り組みを通じて、ITシステムの刷新に向けたロードマップを策定することが、2025年の崖を克服するファーストステップとなります。

ITシステム構築の枠組みに関する定性指標
出典:デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」) 2019.7