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要点まとめ「2025年の崖」を克服するには?
2020.02.26

エバンジェリストが解説「5分でわかるITトレンド」第2回

要点まとめ「2025年の崖」を克服するには?

著者 林 雅之

「2025年の崖」を克服する5つの対策とは?

 では、「2025年の崖」を克服する対応策とは、どのようなものでしょうか。DXレポートでは以下の5点を示しています。

1.「見える化」指標、中立的な診断スキームの構築
 「見える化」指標は、経営者自らが自社ITシステムの現状を把握し、問題点を経営課題として認識するためのものです。

 具体的には、まず「技術的負債」の見える化です。技術的負債はシステムの複雑化・ブラックボックス化によって、本来不要な運用保守費が増加している状況のことです。たとえば、「サーバやライセンスがどれくらい古いか」「システム運用保守費の年次推移はどうか」「システム改修の頻度や規模」「インシデントの発生数と推移」などが挙げられます。

 次に「IT成熟度やデータ利活用」の見える化です。たとえば、「システム連携によって、部門や事業所間で横断的にデータ活用ができているか」「オープン化やクラウド化のメリットを活かす計画があるか」「新規ビジネス領域にIT投資できているか」などです。

 これら社内の「技術的負債の度合い、データ活用のしやすさなどの情報資産の現状」を洗い出し、それを企業内の監査部門による内部監査や、コンサルティング・ファーム等による外部監査など、中立的第三者によって評価(監査)できるスキームを構築します。

2.「DX推進システムガイドライン」の策定
 「DX推進システムガイドライン」は、既存システムの刷新や新たなデジタル技術を活用するための体制のあり方や実行プロセス、失敗の典型パターンを示したものです。

 失敗の典型パターンには、ユーザー企業が陥りがちなケースが具体的に説明されています。たとえば、経営者が明確なビジョンがないのに「AIを使って何かやれ」など部下に丸投げしている、事業部門がオーナーシップを持たず情報システム部門に任せきりにする、付き合いのあるベンダー企業からの提案を鵜呑みにしてしまう、といったことです。

 「DX推進システムガイドライン」は、企業によって千差万別です。策定後は、経営者、取締役会、株主などのチェック・リストとしても活用されます。

3.DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策
 ITシステムの刷新は、莫大なコストと時間がかかり、リスクも伴うものです。また、刷新後のシステムが再びレガシー化してしまう恐れもあります。こうしたコストやリスクを抑えるためには、刷新後のシステムをビジネスや社会の変化に柔軟に対応できるようにしなくてはなりません。

 コストやリスクへの対応策で最も効果的なのは、不要なシステムを廃棄しシンプルにすることです。また、頻繁に更新する機能はマイクロサービスで細分化し、アジャイル開発で段階的に刷新するアプローチが有効です。データ利活用においても、企業機密ではない情報は、複数企業が共同でシステムを構築することが有効です(協調領域における共通プラットフォームの構築※割り勘効果)。

4.ユーザー企業・ベンダー企業間の新たな関係
 ユーザー企業とベンダー企業との契約もウォーターフォール型から、システム再構築やアジャイル開発を想定した形に見直す必要があります。加えて、技術研究組合の活用も有効です。イノベイティブなシステムをユーザー企業とベンダー企業が協働して開発する場合や、マイクロサービスでのアジャイル開発方法をシミュレートする場合など、実験・検証の要素が強い開発では検討するとよいでしょう。

 万が一トラブルが発生したときの備えとしては、裁判外紛争解決(ADR)の活用を事前に契約に盛り込むことが推奨されています。それによって、トラブル解決時間の短縮と、非公開性の確保が期待できます。

5.DX人材の育成・確保
 最後に、これらを実行できる人材の育成と確保は、企業にとって最重要事項です。これまでの既存システムの維持・保守から、DX分野に人材リソースをシフトさせる必要があります。また、システム部門には経営改革をITシステムに落とし込める人材が、事業部門ではアジャイル開発の実践による事業部門人材のIT人材化が求められます。人材の育成には、新たに整備されたITエンジニアのスキル標準や情報処理技術者試験の活用も有効となるでしょう。

 第3回では、企業が「2025年の崖」を乗り越えるための具体的なアクションの支援ツールである、「デジタル経営改革のための評価指標(DX推進指標)」について解説をしていきます。

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