新型コロナウイルス感染拡大が懸念される中、経済活動への制約などが徐々に緩和され、企業戦略にも大きな変化がみられます。多くの企業は、今回の新型コロナウイルスのように、継続的に、多様かつ大きな変化が短期間に起こる「ネクストノーマル」時代に対して、中長期視点にたって、デジタルテクノロジーを活用し、新たなビジネスの価値創造を生み出していくことが求められています。
企業が生み出すべき「新たなビジネスの価値創造」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。今回は2つの興味深い調査結果から考えてみたいと思います。
コロナ後はテクノロジー予算が増加、逆に減少する予算は?
米調査会社のガートナーは2020年9月30日、デジタル・ビジネス・イニシアティブに関する調査結果を公表しました。
本調査によると、新型コロナウイルス感染による混乱を受けて取締役会の69%が「デジタル・ビジネス・イニシアティブを加速させる」と回答。さらにほぼ半数が「新型コロナウイルス感染の影響として、自社のビジネスモデルが変わる」と考えているという結果となっています。
今回、経営者層が重点を置いているのは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う短期的なリスクへの対応よりも、むしろ、持続可能性の高い中長期的なビジネスモデルへの対応です。
ガートナーでは、デジタルトランスフォメーション(DX)の推進は、企業にとって、今後も想定される社会や経済の脅威を乗り越えられる強い企業になるために、従業員、顧客、サプライチェーン、そして広範なブランドへの影響に対応する上で強力な手段になると指摘しています。
また、取締役会の67%は、新型コロナウイルス感染拡大の影響として、テクノロジー関連予算が増加すると予測する一方、マーケティングや人事などの部門では予算が削減されると見込んでいます。

出所:ガートナー 2020.10
今回の調査では、2020年のIT予算が約7%増加すると予測しており、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、今後2年間は、デジタル・テクノロジー・イニシアティブが最も重要な戦略的ビジネスの優先課題となると予測しています。
DX推進は、今後の企業の経営戦略において、持続可能性を重視したビジネスモデルの転換に向けて必要不可欠となっていると言えるでしょう。