2020.01.31
エバンジェリストが解説「5分でわかるITトレンド」第1回
いまさら聞けない「2025年の崖」とは何か?
著者 林 雅之
「2025年の崖」の課題は、時間とカネ
たとえば、保険業A社では、導入から約25年経過した基幹系システムの刷新を、経営陣のプロジェクトのもとで、4~5年で約700億円をかけて断行しました。数年単位で経営者が変わる場合は、任期内にシステム刷新の恩恵を受けにくいこともあり、中長期視点でシステム刷新を経営判断するのは難しい状況となっています。
一般社団法人日本情報システムユーザー協会(JUAS)の「企業 IT 動向調査報告書 2017」によると、日本企業のIT関連予算の80%は現行ビジネスの維持や運営などの「守りのIT投資」に割り当てられています。 DX推進ためのデジタル技術の活用など「攻めのIT投資」に振り向けることができていない状況です。
レガシーシステムの中には、本来不必要だった運用、保守費を支払い続ける「技術的負債」(Technical Debt)を抱え、その負債の増大が懸念されるケースもあります。 企業の予算がITシステムの運用や保守に8割が費やされ、技術的負債を抱えていれば、将来にわたって新たな付加価値を生み出すIT投資に資金や人材を振り向けることが困難になります。
多くの企業は、「守りのIT投資」の負担が増え、DX実行に必要となる「攻めのIT投資」ができない課題に直面しているのです。
次回は、「2025年の崖」を克服に向けたDX実現シナリオを中心に、2025年までに、どのようにレガシーシステムを刷新して「守りのIT投資」を減らし、「攻めのIT投資」によるDXを実現していくかを解説します。
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