いま、国内の多くの企業がデジタル変革を図ろうという一方で、老朽化や複雑化、ブラックボックス化した既存の基幹システム(以下、レガシーシステム)への対応に大きな労力を強いられる、いわゆる「2025年の崖」に直面しています。
しかし、多くの企業が「2025年の崖という言葉は耳にするが、具体的に何をすれば良いのか分からない」という課題を抱えています。
本記事では、「2025年の崖」に精通するNTTコミュニケーションズエバンジェリストの林雅之氏が、DX実現シナリオや評価指標、データ活用やシステム選択など「2025年の崖」を克服するためのアクションプランを4回に分けて解説します。
・連載テーマ
<第1回>「2025年の崖」とは何か?
<第2回>「2025年の崖」を克服するためには?
<第3回>「2025年の崖」を超えるための評価指標(DX推進指標)とは
<第4回>「2025年の崖」を克服するためのシステム選択
「2025年の崖」は、なぜ起こるか
自社の将来の成長、競争力強化のために新たなデジタル技術を活用し、ビジネス変革や新たなビジネスモデルを創出、柔軟に改変するデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の必要性の意識が高まっています。しかし、DX推進の試みは見られるものの、多くはビジネス変革につながっていないのが現状です。
背景には、国内企業の老朽化や複雑化、ブラックボックス化しているレガシーシステムの存在があります。ブラックボックス化は、自社システムの内部構造が複雑化し、自分自身で修正できない状態です。多くの企業でDXがビジネス変革につながっていないのは、ブラックボックス化の解明や新たな構築方法の検討などを、「自社の経営課題」として真正面から取り組まないまま時間が経過しているためです。
「2025年の崖」とは、このようなレガシーシステムが残存した場合に想定される、国際競争への遅れや日本経済の停滞などを指す言葉です。経済産業省(以下、経産省)が発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』 (以下、DXレポート)での指摘が話題となり、企業にとっては、自社がDXを推進し、グローバル競争力を高めていくための重要なテーマとなっているのです。