AIやRPAといったデジタル技術を用いて、従来の業務プロセスやビジネスモデルを改革し、新商品、新サービスの開発を行うことを「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」といいます。経済産業省が2018年に発表したレポートにて “2025年までにDXに乗り出さなければ、日本企業は生き残れない”という記述があったことから、ビジネスシーンで特に注目を集めているワードとなっています。
DXについては、すでに多くの企業が、AIやRPAを導入するなどで、取り組みをスタートしています。しかしその一方で、効果が思うように出ていないケースもあるようです。
DXをより推進するためには、どうすれば良いのでしょうか?「音声」を鍵にDX化が進みつつあるコンタクトセンターの現場から、そのヒントを探ります。
DX化の取り組みは進んでいるけれど、効果は薄い?
DX化を推進する企業の数は、年々増えています。電通デジタルが2019年末、従業員数500人以上の国内企業所属者に対して行ったDXに関するアンケート調査によれば、すでにDXに着手している企業の割合は70%で、前年度調査よりも7%増加しているといいます。
具体的な取り組みとしては、RPAを導入する企業が増えているようです。MM総研が2019年11月に公開した、年商50億円以上の国内企業1,021社に対するアンケート調査では、RPAの導入率が38%でした。これは2018年6月の前年度調査の22%よりも16ポイント高い数値となります。年商1,000億円以上の大手企業に限ると、導入率は51%と、半数以上がRPAを導入していることになります。
AIについても導入率が高まっています。MM総研の同調査によれば、2019年11月時点のAI導入率は36%で、2018年6月の前年度調査の26%よりも10ポイント高くなっています。
一方で、せっかくDXの取り組みをスタートしたにも関わらず、思うような効果が出ていない企業もあるようです。IDCが2019年7月、企業150社に対して行った調査では、「DXの売上/利益に対するインパクト」という問いに対し、「現時点ではDXによる売上/利益増加の効果は見えていない」とした回答は37.3%で、この設問では最も高い数値となりました。
同設問では、「財務的なインパクトを測定していない」という回答も高い数値となっており、この2つの質問の割合を合わせると、半数の企業が、DXを推進しているにも関わらず、思うような結果が出ていない、というわけです。