このように、世界ではスマホの盗難に関して、さまざまな対策が図られている。それでは、いざ自分が盗難に遭ってしまった場合、もしくは盗難から身を守るためにはどうすればよいのだろうか。筆者のインシデント対処支援の経験に基づいて、「予防」と「事後処理」の2つの観点で紹介する。
まずは、スマホを盗まれないための「予防」である。最も手軽な方法としては、市販されているスマホの紛失防止グッズを利用することが挙げられる。たとえば、スマホと紛失防止タグが一定距離を離れるとアラームが鳴る、といったようなものだ。
MDM(モバイルデバイス管理)の導入も良いだろう。事前設定したセキュリティポリシーに基づいてスマホを管理し、紛失した場合は、デバイスの使用を制限したり、データの削除もできる。
キャリアアプリには、「Find My ~」 のような名称の端末追跡アプリがプリインストールされていることが多い。これを使えば、紛失しても端末のだいたいの位置がわかる。
こうした対策をしても盗まれてしまった場合は、「事後処理」として、以下の3点のような処置を行うのが良い。
(1)盗難認知後、速やかにリモートワイプ(遠隔地操作)機能を使用
…洗練された犯罪者は、盗んだスマホからSIMカードを外す、あるいは電波遮蔽する箱に入れることがあるため、可能な限り迅速にリモートワイプ機能を実行すること。
(2)キャリアアプリを使用したリモートでロック及びパスワードを変更
…ただし、キャリア以外から提供される同種アプリには、信頼できない要素が含まれていることがある。
(3)スマホに特化した保険や紛失サポートを利用
…盗難・紛失時の利用中断の依頼のための連絡時に、電話番号と暗証番号が必要になることがある。