ここでいう「“考える力”を鍛える」とは、「どうやるか」の手段を吟味、検討したり、うまくやるための手立てをあれこれ考えることではありません。以下のような「固定した正解のない問い」にしっかりと向き合い続けることでしか培われないのが考える力です。
・社員満足とはそもそも何のために必要なのか?
・互いの信頼関係というのは何なのか? それが必要だとするなら何のためか?
・そもそも働くことは何のためなのか?
こうした問いに向き合って考えるということは、視野や時間軸を広げて全体となるものをつかみ、さまざまな立ち位置や角度から、物事の意味や目的、価値や文脈などを理解する能力を鍛えていく、ということです。残念ながら今の日本人は、こうした能力を一般的に(学校教育も含めて)あまり鍛える機会を持たないままに育ってきたのです。
合理化思考が優先され「どうやるか」「先に結論ありき」の簡便な思考が身についた私たちが考える力を鍛えるためには、意味や目的と向き合い続ける挑戦文化の思考を意識しながら“実際に考え抜く”ことに意味を見出す、実感の持てる新たな体験を通じて習慣にしていく必要があります。そして、そのためには次の3点のような、考えるための環境条件が必要です。