大企業を惹きつける要因としては、このほかにも“経営者目線”で制度が作られていることもあります。
アメリカでは、法律によって労働者が労働組合に加入することが義務付けられています。このため、労働組合加入率はニューヨーク州が19.8%、カリフォルニア州は13.8%です。
しかしテキサス州は、「Right to work」という州法を制定しているため、労働組合への加入が強制されません。このため、テキサス州の組合率はわずか5.4%です。
格差が深刻化するアメリカでは、最低賃金に関する労働者デモが各地で頻発しています。テキサス州の最低賃金は時給7.5ドル(795円)と全米最低であるにも関わらず、生活コストが安いため労働者の収入満足度が高く、労働組合率が低いことと相まって、労使間の紛争が少ない結果となっています。
このように、経営者に有利な制度であるにも関わらず、労使トラブルに悩まされるリスクが低いことは、経営者にとって大きな魅力となっています。
大企業の流入が続くテキサス州では、雇用が活性化して多様な人材が集積し、さらなる企業を呼び寄せるという好循環を生んでいます。次はどの企業が移転するのか、テキサス州の発展に全米から注目が集まっています。