冒頭でも触れた通り、Phone Appliではフリーアドレス制のオフィスや在宅勤務におけるコミュニケーションをサポートするツールとして、「連絡とれるくん」や「居場所わかるくん」を提供しています。同社の従業員自身もこれらのサービスを使用しており、働き方改革に役立てているといいます。
連絡とれるくんは社員や顧客の連絡先情報をクラウド上で一元的に管理するWeb電話帳サービスです。全社的に連絡先情報を集約して管理できるため、個々の社員が個別に顧客の連絡先をスマートフォンに登録するといった手間が省けます。さらに、管理者が更新するだけで全員が最新の情報を閲覧できるというメリットがあります。
もう1つの居場所わかるくんは、社員の位置をテキストで表示したり、マップ上で示す機能を持つサービスです。フリーアドレス化や在宅勤務制度の導入などで、連絡を取りたい社員がどこにいるのかわかりづらくなっている場合でも、居場所わかるくんを使えばフリーアドレスオフィスのどこで働いているか、即座に把握できます。
「フリーアドレスや在宅勤務で社員が思い思いの場所で働くようになると、必然的にコミュニケーションが取りづらくなります。しかし連絡とれるくんや居場所わかるくんを使えば、連絡を取りたい相手の場所に応じた方法でコミュニケーションすることが可能です。決められた場所で仕事をする時代は、もう終わったと言っても良いのではないかと思います」(石原氏)
しかし、働き方改革にまだまだ取り組めていない企業が、いきなりPhone Appliのような働き方に変えるのは、そう簡単なことではなさそうです。まだ取り組めていない企業は、どのように働き方改革を始めれば良いのでしょうか。
「まずは1人で成功事例を聞いて、それを社内で展開するのが良いでしょう。次のステップはいろんな部門を巻き込むことです。最近では、働き方改革に成功しているさまざまな企業がオフィスの見学を受け入れてますよね。そういった企業に様々な部門の人間を伴って訪問することで、方向性や価値基準を揃えられるはずです。その上で自社の状況を改めて整理し、自分たちに合った施策をピックアップすればいいのではないでしょうか。
一番のおすすめは、経営者自身が勉強することです。働き方改革の性質上、ある程度トップダウンでないとうまくいかないように感じています。経営者は、もし部下から働き方改革に関する提案が上がってきたら“恥ずかしい”と思うくらいの意識で取り組むべきだと思います」(石原氏)
残業時間の上限規制や年次有給休暇の取得の義務づけなど、法律が求める働き方改革への対応はもちろん重要です。しかし、それに加えて会社の魅力や業績の向上に向けた取り組みも同時に推進しなければなりません。Phone Appliが取り組む、さまざまな施策は、働き方改革によって企業価値を高めるための良いヒントとなるのではないでしょうか。
【コラム】Phone Appliが山口県萩市に新オフィスを設立する理由
このオフィスではグローバルで活躍できる人材と地方での就業機会の創出、デジタルビジネス創造のためのスタートアップ・エコシステムの構築を目的としています。採用の対象は、萩市在住の地元高校・情報系専門学校の卒業者で、アプリケーション開発者の育成を短期間で行うとします。
「セールスフォース・ドットコムのPaaSに特化したエンジニアを育成することが萩 明倫館アプリ開発センターの役割になります。これにより、入社していただいた方の人生もきっと豊かになると思いますし、我々自体も貴重なプログラマーを確保し続けることができると期待しています」(石原氏)