2019年4月に働き方改革関連法案が施行されたことで、企業は本格的に、働き方改革に取り組むことが求められています。
国は具体的な施策として、多様な就業形態の普及や、仕事と生活(育児、介護、治療)の両立を掲げており、労働者の職業生活の充実を「事業主の責務」としています。
中には、“急に働き方改革と言われても……”、“具体的にどのような施策を行えば良いのか……”と困っている企業もあるかもしれません。しかし、10年以上も前から自主的に働き方改革を推進し、多様な就業形態と、仕事と生活の両立に取り組んでいる企業があります。それが、今回取り上げる株式会社Phone Appliです。
なぜ同社は、早くから働き方改革に取り組んでいたのでしょうか? そして、具体的にはどのような取り組みを推進しているのでしょうか。代表取締役社長である石原洋介氏に話を聞きました。
働き方改革は、新しいサービスや企画を次々と生み出すためにある
株式会社Phone Appli(以下、Phone Appli)は、クラウド電話帳サービス「連絡とれるくん」や、オフィスにいる従業員の位置を素早く把握できる「居場所わかるくん」など、ビジネスのコミュニケーションの方法を変えるためのサービスを提供しているIT企業です
同社は2008年の創業当時からワークスタイル変革に積極的に取り組んでおり、これまでに2,000社、約5,000名が同社の取り組みを見学に訪れたといいます。
なぜ同社は、今から10年以上も前から働き方改革に取り組んでいたのでしょうか? 代表取締役社長である石原洋介氏は、その理由について “企業価値の向上”と話しました。
「当社の働き方改革の目的は、残業時間の削減ではなく企業価値の向上です。では、企業価値が高い会社とはどのような会社なのでしょうか? 私は、『新しいサービスや企画を次々と生み出せる会社』だと思っています。
そのような会社になるには、社員の力を最大限に引き出し、つなぎ合わせることが重要です。それを実現するために、社員のみんなが最もパフォーマンスを発揮できる環境を用意し、評価も時間ではなく成果で行うことを徹底しています」

石原氏は、理想とする働き方を実現するためには “カルチャー(企業文化)”が必要であるとしています。同社でもカルチャーとして、「変化を恐れない」「プロフェッショナル」「スピード」「チームワーク」「感謝」「健康」というキーワードを掲げています。
「みんなが力を発揮するためには、それぞれが“自立”する必要があります。我々が定義する自立とは、社員それぞれが変化に応じて、自ら意思決定し行動することです。
もちろん、誰もが自由に意思決定を下してしまうと、会社はバラバラになっていまいます。そこで意思決定の際に、尺度となる基準をみんなで共有できている必要があると考えました。カルチャーはその指針として、当社に根付いています」(石原氏)