このように働き方改革に取り組んでいるマイクロソフトですが、三上氏によれば、以前のマイクロソフトには働きづらい点が多く見られたといいます。
「象徴的な例が、オフィスレイアウトでした。各デスクでスペースが遮断されており、作業中に社員間のコミュニケーションが取りにくかったです。しかも、紙ベースのやりとりが多く、デスクには紙が山積み。オフィス全体のカラーはグレーでした。
これを8年前のオフィス移転を機に、フリーアドレスの環境に切り替えました。同時に、社員同士のコラボレーションを活性化するためのスペース、個人の作業に集中できるスペースも整備しました。大幅にオフィスのレイアウトを変え、新しい働き方の導線をつくっていきました」(三上氏)

三上氏はこのオフィスの移転について、あくまでも“きっかけ”に過ぎず、なによりも大事なことは「いつでも、どこでも働ける企業文化」を作っていくことにあるとしました。
「現在、大半の社員が、いつでもどこでも働けるリモートワークを活用しています。すべての会議はTeamsで行い、外出先、自宅などからでも参加できるようになっています。最近ではお客さま訪問時に、必要な社員をTeamsで呼び出して回答させる“オンライン同行”も始めており、以前のように大人数で訪問することがなくなりました」
これらの取り組みの結果、マイクロソフトでは女性の離職率が従来と比べ40%減り、社員一人当たりの事業生産性は26%向上、ワークライフバランスの満足度が40%向上するといった成果が出ています。
マイクロソフトでは、オフィス以外にもさまざまな働き方改革を進めています。2016年5月には就業規則を変更、コアタイム制を廃止し、事前申請なしに休暇が取れる制度に変更しました。
さらに2017年9月に導入した「ファミリーフレンドリー休業制度」では、育児や介護が必要な場合、一定期間の有給休暇が利用できるようになりました。例えば子供が生まれた男性社員に対しては6週間の育児休暇がつきます。その取得率は70%に及ぶといいます。
2018年4月に導入した「リターンシッププログラム」では、個人の事情により一度キャリアを中断・離職している女性のキャリア再開・職場復帰をサポートしています。
「“短い時間でよく働き、よく学び、よく休む”。私達はこれからも働き方改革にチャレンジしていきたいと考えています」(三上氏)