電車に乗るとき、われわれはSuicaなどの「ICカード乗車券」や、その機能を取り込んだスマホアプリを利用します。少なくともビジネスパーソンでは、「その都度切符を買う」という人は少数派といえるでしょう。
ところが出張や移動の「交通費精算」では、社員が交通費を建て替え、その料金やルートを手作業で申請し、それを経理がチェックして支払うというアナログな方式を、いまだに採用しつづけている会社が多いはずです。
今回はそんなアナログな交通費の精算を、デジタルでカンタンに自動精算することで、無駄な事務業務を効率化しようという話です。
「アナログ」な交通費精算は、従業員の貴重な時間とやる気を奪う
アナログな交通費の精算を現在も続けている企業の多くは、おそらくこんな作業をしているはずです。
まずは従業員が、近場の企業に訪問する際でも、遠方への出張でも、交通費を立て替えて支払います。その際には、支払った交通費と移動の目的(「得意先の○○社に訪問」など)の記録を、メモなどで残しておきます。そして月に一度、精算システムや精算フォーマットに、交通費や移動の目的を入力し、上司に申請します。
上司はその入力したデータを、適正な請求であるかどうかチェックします。経理担当者も内容を確認した後、各従業員の銀行口座に交通費が振り込まれます。
こうした交通費精算に関連した業務に対して、「乗車の記録をつけることなど、たいした時間はかからない」「もう慣れてしまっているから問題ない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、「塵も積もれば山となる」のです。
営業職であれば、企業に訪問するために、1日に電車を何度も利用するケースもあるでしょう。仮に1日平均で6回電車に乗るとすれば、月20日勤務なら120回になります。その都度、乗車記録のメモに30秒かけているとすれば、乗車記録だけで月に1時間もの貴重な時間が取られていることになります。
さらに、そのメモの内容に従い、月一度の精算日直前に専用のシステムやフォーマットに打ちこむ作業も伴います。「日付/訪問先/乗車駅と降車駅」のデータを120回分入力し、その後、入力内容に間違いはないかをチェックするとなると、少なくとも1時間くらいはかかるでしょう。
つまり、アナログ方式で交通費精算では、月に2時間もの時間が単純作業に取られてしまうことになります。SuicaやモバイルSuicaで簡単に電車に乗車できる時代に、このようなアナログな交通費精算を続けるというのは、時代遅れといっても過言ではないでしょう。