コンタクトセンターの雇用環境が、“時代に先駆けて”悪化した本質的な理由は、以下の3点にあります。
1つ目が「『基本』をおろそかにしたプアなマネジメント」です。
国内のコンタクトセンターのマネジメントは、その大多数が「自己流」「勘と経験」でおこなわれています。
そのため、やり方が間違っている、やっていることの質が低い、そもそもやるべきことをやっていない、といったことが起こります。そんなことでは、表1の選択条件に応えることは困難でしょう。
2つ目が「エージェントを『コスト』扱い」することです。
すべてのコンタクトセンター長は、異口同音に、“エージェントは「人財」だ”と言います。しかし、その言葉通りにエージェントをケアし、マネジメントしているでしょうか。残念ながら、ほとんどの場合、最終的な判断は、目先の金銭的な「コスト」のみでなされるのが現実です。
しかも、「適正なコスト」を求めるのならまだしも、その判断基準は「いかに安いか」「いかに減らすか」の一辺倒です。これでは、「雇用は非正規」「時給は安く」「ケアは必要最小限」とならざるを得ないでしょう。
3つ目が「コンタクトセンターに対する『ブラック・イメージ』」です。
全国に先駆けて10年近く前から雇用環境の悪化が始まった沖縄県では、教師や親御さんから、合言葉のように“コンタクトセンターだけはやめておけ”と言われるようになってしまいました。プアなマネジメントやエージェントのコスト扱いが、結果として、就職先としてのコンタクトセンターに対するブラックなイメージを植え付けてしまったのです。
一方で、表1の選択条件にマッチする質の高いマネジメントをする一部のコンタクトセンターには、応募者が集中するという状況が見られました。
今、日本では、人手不足が大きく騒がれていますが、人がいないわけではありません。労働力人口は過去最大を更新し続けている上に、一般事務系職種は、深刻な人余り状態にあります。デジタルトランスフォーメーションによる省力化が、「人減らし」「人いらず」を進めているからです。
にもかかわらず、「低賃金」「非正規」「ブラック」のイメージが、人手不足で困っているコンタクトセンターを始めとする現場・サービス系職種への人の流入を阻んでいるということです。