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元ヤクルト・橋上秀樹氏が語る、若手を「潰す」指導と「伸ばす」指導の違い
2020.01.23

小山宣宏の「勝利の裏にあるもの」第41回

元ヤクルト・橋上秀樹氏が語る、若手を「潰す」指導と「伸ばす」指導の違い

著者 小山宣宏

 今、世のビジネスパーソンは若手社員の指導に悩まされることが多い。強く当たればパワハラと言われてしまう時代にあって、若い世代との距離の保ち方もままならない状況にある。

 スポーツの世界も同じだ。ここ数年、指導者と選手側におけるパワハラが、たびたび新聞の社会面の話題となっている。一方で問題を起こすこともなく、着実に若手の才能を伸ばしているコーチも、もちろん存在する。

 若手の才能を潰し、恨みを買ってしまうダメな指導者と、若手の才能を伸ばし、成長させていく理想的な指導者とは、何が違うのだろうか?

 筆者はこの答えを探るべく、長くプロ野球の世界で指導者を務めてきた、元ヤクルトの橋上秀樹氏に話を聞いてみた。橋上氏は2000年に現役を引退すると、2005年から東北楽天で、野村克也監督のもと指導者としてのキャリアをスタート。以降、東北楽天・読売巨人・埼玉西武・日本代表などのチームに所属。2019年まで、東京ヤクルトの二軍チーフコーチも務めていた。

 指導者として10年以上もの経験を持つ橋上氏は、若者を指導する際に、どのような思いで臨んでいるのか。「若い選手を育成するうえで、コーチが心がけなくてはならないこと」について語ってもらった。

ダメな指導者は「試行錯誤のプロセス」の重要性に気付けない

 現役で17年、指導者として13年、合計30年もの間、プロ野球の世界に身を置いた私にとって、もっとも考えさせられたのが、「選手への指導法」である。

 とりわけ若い選手たちとは、どう接していけばいいのか。考え抜いた末に私が取った方法は、「技術的なことについては、あえてコーチから口出しをしない」ということだった。

 選手、つまり部下を指導する立場にいると、「ここは、こうしたほうがいい」などと、つい口を出したくなるという人も多いはずだ。けれども、選手の立場になったとき、技術的な指導をすることが本当の意味で役に立つのか、疑わしいケースも実際にある。なぜならそこには「自ら考え、試行錯誤しながらスキルを習得していく」という、大切なプロセスが欠けてしまいがちだからだ。

 もしコーチがあれこれ指導するというのであれば、「その選手と信頼関係が築けているかどうか」がポイントなる。「自分はコーチ(上司)だから」という理由だけで、一方的にアドバイスしたところで、その選手の心に響くことはほぼないと見ていい。選手が「この人の話を聞いてみよう」と思えるかどうかは、コーチとの間に信頼関係があるかどうかにかかっている。

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