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三浦知良が52歳になった今もなお「現役」にこだわる理由
2019.12.19

小山宣宏の「勝利の裏にあるもの」第40回

三浦知良が52歳になった今もなお「現役」にこだわる理由

著者 小山宣宏

プライベートで落ち着きのない選手が、冷静にシュートを打てるだろうか

 海外での経験を経たカズは現在、J1に昇格を決めた横浜FCに所属している。2005年シーズンの途中に加入してから、カズの長いサッカー人生のなかでもっとも在籍期間の長いクラブとなっている。ここ数年、彼の背番号にちなんで、1月11日に選手契約が更新されており、例年通りであれば、カズが来シーズンにJ1でプレーするのは間違いないだろう。

 とはいえ、出場試合数は年々減っている。Jリーグ最年長ゴールを記録した2017年シーズンは12試合に出場したが、2018年は9試合、2019年は3試合にとどまっている(試合数はリーグ戦のみ)。現実の数字は残酷なほど正直だ。

 出場機会が減ったが、カズが練習の手を抜くことはない。横浜FCの下平隆宏監督は、最年長のカズが先頭を切って練習することで、若手がそれについていこうと努力することを評価している。

 カズのこうした姿勢は、彼が「サッカーは人生の縮図」ととらえていることの証明なのかもしれない。つまり、生き方がプレーに反映されると言い換えてもいい。

 プライベートで妥協してしまう選手が、試合終了まで100%の実力を発揮できるだろうか。
 プライベートでネガティブな選手が、失点直後にすぐ気持ちを切り替えられるだろうか。
 プライベートで落ち着きのない選手が、ゴール前の混戦で冷静にシュートを打てるだろうか。
 プライベートで傲慢な選手が、チームメイトと信頼関係を築けるだろうか。

サッカーの勝敗を分ける要素の多くは、実は「プライベートの過ごし方」に大きく関係していると、カズは考えている。

 カズは40歳を過ぎてから、多くの人に「なぜ現役を続けるのですか?」と聞かれることが多くなった。その答えはいたってシンプルだ。

「サッカーが好きだから」。

 スピード、技術、運動量、戦術眼といったサッカー選手にとって必要なスキルを、52歳を過ぎて、劇的に向上させることはできない。それでも気持ちのどこかで、「まだ成長できる」と考えている自分がいる。

 「このタイミングでシュートを打てば、ゴールを狙える」「ここでトラップを仕掛ければ、相手をかわせる」といったひらめきは、今でも試合や練習で感じている。そうした発見がある限り、「まだまだスパイクを脱ぐ気にはなれない」とカズは話している。

 J1の最年長得点は、ジーコが鹿島アントラーズ時代の1994年に記録した41歳3ヵ月12日である。来季からJ1復帰する横浜FCでカズが得点すれば、ジーコの記録を大幅に塗り替える。

 しかし、たとえゴールを決めたとしても、カズは「もっと点を取りたい」「もっと上手くなりたい」と思うことだろう。サッカーを嫌いにならない限り、カズのサッカー人生はまだまだ続いていく。

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