Bizコンパスの人気記事をアクセス数順に紹介する「Bizコンパス 月間アクセスランキング」。今回は8月アクセスランキングを発表します。1位に輝いたのは、あるテレビ局が取り組んだ「働き方改革」に関する記事でした。
1位に輝いたのは、福島県のテレビ局「福島テレビ株式会社」が、新社屋の建設・移転のタイミングで既存のネットワークを見直し、働き方改革を推し進めた「福島テレビが新社屋建設を機に刷新した、働き方改革を推進するネットワークとは」(8月7日公開)でした。
福島テレビは2011年の東日本大震災で社屋が被災して以降、新社屋に作り変える計画が進められてきましたが、同時に電話やデータネットワークについても、見直しが検討されていました。これまで使ってきたPBXはすでに老朽化。加えて多くの社員が、社内の内線用PHSや会社貸与の携帯電話、社員個人のスマホなど、電話端末を複数持ち歩くことが常態化しており、不満の声もあがっていました。
そこで同社は、内線と外線を1台のスマホに統合するため、PBXのクラウド化に踏み切りますが、かといって、すべての電話環境をクラウドへ移行するわけにもいきませんでした。なぜなら、同社は報道機関であるため、従来のアナログ電話網が利用できる環境も必要となります。そのため、クラウドへ移行できる部分はクラウド化しつつ、オンプレミスもある程度残すという“ハイブリッド”な構成が求められていました。
同社ではこのハイブリッドな構成を、“10年先も安心して使える未来志向の統合型ネットワーク”を導入したことで、実現できたといいます。同社が導入したネットワークとは、一体どのようなものなのでしょうか?
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2位には、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組みたいと思っても、結局DXは進まないケースが多くなってしまう日本の悲しい現実を、ITコンサル歴30年のレイヤーズ・コンサルティング・加藤道隆氏が解説した「なぜ日本でDXが進まないのか? 企業が陥る『あるある』を解説」(8月23日公開)でした。
加藤氏が記事で指摘する“日本でDXが進まない理由”の1つが、「ツールに飛びついてしまう」という点です。具体的には、「無人店舗がオープン」や「プロ棋士を破るAIが登場」といったニュースを耳にして、“そんなスゴイものがあるならぜひウチの会社にもAIを”と、ツール先行でDXを進めてしまうケースです。
しかし、こうしたツール先行の場合、手段は決まっているものの、“そのツールを用いて何をする?”というゴールのイメージがなく、トライアルだけで終わってしまうことがあるといいます。加藤氏はこのような“PoC倒れ”を防ぎ、イノベーションを成し遂げるためには、まず「やりたいこと」をイメージできるかどうかにかかっているとしています。
それでは、その「やりたいこと」をイメージするためにはどうすれば良いのでしょうか? 加藤氏は“大げさにとらえる必要はない”、“改善活動にほかならない”と、あくまでも現在のビジネスの延長上にあるとしています。
「やりたいこと・改善するポイント」を見つける方法については、ぜひ記事を参照ください。
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第3位は、7月に行われたイベント「Digital Innovation Forum 2019」におけるCDO(最高デジタル責任者/最高データ責任者)によるトークイベントを取り上げた「CDO討論会『日本の経営者は、DXへの切迫感がなさすぎる』」(8月9日公開)でした。登壇したCDOは、株式会社三菱ケミカルホールディングス 執行役員 CDOの岩野和生氏、ヤマハ発動機株式会社フェローの平野浩介氏、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 執行役員 グループCDO 兼 経営情報統括部長の安田裕司氏の3名です。
会ではモデレーターの一般社団法人CDO Club Japan 代表理事&創立者の加茂純氏より、「日本の経営者は他国よりDXに対する切迫感がない。なぜか?」という質問が、3人のCDOに対して投げかけられました。これについて平野氏は「過去に世界的な成功を収めた経験があること」と「現状は赤字ではないこと」、岩野氏は「ITをコストカットの道具と見ていて、“攻める道具”と認識していないこと」、安田氏は「データマネジメントの重要性を正しく認識していないこと」を、それぞれ挙げました。
「“デジタル人材”の不足をどう解決するか」という質問については、岩野氏は「社内で“筋のいい”育成プログラムを用意する」、平野氏は「DXに特化した社内教育プログラムを立ち上げる」と、ほぼ同じ回答。安田氏が所属する三菱UFJフィナンシャル・グループでも、研究開発や人材育成を目的としたJDD(Japan Digital Design)という会社を立ち上げており、「人材が足りないのであれば育成する」というのは、業界では共通の方針のようです。
イベントにおける最後の質問「DX普及の最大の障壁となっている“日本型カルチャー”をどう乗り越えるのか」について、3名のCDOがどう回答したかについては、ぜひ記事本文をご確認ください。
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第4位は、IoTを活用し、生鮮食品の鮮度をモニタリングするという、物流会社の新たな取組にスポットを当てた「輸出する果物の鮮度を、IoTとクラウドでキープする!物流会社が挑戦」(8月21日公開)でした。
グローバル規模で総合国際物流事業を展開する株式会社日新では「ハコラボ」というサービスを2017年から展開しています。ハコラボは、パレットやコンテナといった、荷物を安全にかつ効率よく運搬する物流容器を、従来の「使い捨て型」から、積載効率の良い専用容器を繰り返し使う「リターナブル型」にすることで、効率的で最適な物流の実現を目指すというものです。
同社はこのハコラボの付加価値を高めるため、青果物の鮮度を保持したまま、海外へ船で輸送する「鮮度保持梱包」のチャレンジをスタートしました。業界的には、青果物など生鮮食料品は、鮮度を落とさないよう、航空便を使用するのが一般的です。しかし、この鮮度保持梱包によって青果物の鮮度が維持できれば、一度に大量に運べるため、輸送コストは従来よりも安価になります。梱包容器には鮮度保持のために窒素ガスを充填し、梱包内の温度や湿度などのデータをIoTで監視します。
同社はこの鮮度保持梱包のPoCを実施。4種の青果物をシンガポールへ船で輸送し、18日間にわたる温度、湿度、酸素濃度と二酸化炭素濃度を可視化したといいます。同社はどのように、IoTで鮮度を監視する仕組みを作ったのでしょうか? そして、青果物の鮮度は、海上輸送でも本当に維持できたのでしょうか?
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5位は、企業の情報セキュリティを「継続的な脆弱性管理」によって強化する方法を解説した「終らないアラート対応に終焉を、ServiceNowとTenableが打ち出す脆弱性管理とは」(7月31日公開)でした。
ネットワークやソフトウェアの脆弱性は、現在、特に狙われています。CVE Detailsというサイトで報告される脆弱性は、5~6年前までは1年間で数千件程度でしたが、最近は急激に増加。2018年は16,500件以上も報告されています。
こうした脆弱性が原因でインシデントが発生した場合、最終的に責任を負うのは、委託元である企業となります。そのため、多くの企業では、脆弱性の管理を専任で行なう担当者を置き、被害を受けないよう、自社内で脆弱性を管理するケースも増えています。サイバー攻撃の多くは、新しい脆弱性だけでなく、古い脆弱性もターゲットとするため、自社で脆弱性管理の仕組みを作れれば、多くのサイバー攻撃が未然に防げます。
しかし、ServiceNow社の調査によると、日本企業の83%が、「脆弱性の多さに対して、情報セキュリティ部門の予算、人材の供給が追い付いていない」と回答しており、本来は適用すべき脆弱性対策のパッチが、適用できていない現実があるといいます。こうした未適用の端末が1台でもあれば、サイバー攻撃によってインシデントが発生し、ビジネスが完全に止まってしまうケースがあります。
こうした“脆弱性を管理したいのに、管理できない”という状況を改善するためには、どうすれば良いのでしょうか? 記事ではその解決法として「脆弱性スキャナ」というものの存在が挙げられています。どんなスキャナなのか、その正体は記事にてご確認ください。
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6位は、DXの遅れにより、日本で2025年以降に最大12兆円の経済損失が発生すると予想されている「2025年の崖」について解説した「『2025年の崖』とは、どんな崖か?」(2018年12月24日公開)でした。昨年末に公開した記事にも関わらず、6月、7月、8月と3カ月連続でランクインしています。
7位は、株式会社セールスフォース・ドットコムの丸山浩太郎氏が、ネット通販の登場により、消費者と企業の間に“大きな溝”が生まれ始めていることを指摘し、その“埋め方”を取り上げた「企業と消費者の間にある『大きな溝』はどうすれば埋められるか?」(8月9日公開)でした。
8位は、プルデンシャル生命でトップセールスマンとして活躍した“伝説の営業マン”こと八木昌実氏が、採用面接で「騙されかけた」エピソードを披露した「『採用してはいけない人』を見分ける、たった1つのコツ」(8月25日公開)でした。
9位は、三井化学株式会社の理事 次世代事業開発室長コーポレートベンチャリンググループリーダーである善光洋文氏に、同社のマーケティング戦略をインタビューした「次世代のビジネスは『材料』×『情報』で生まれる」(8月2日公開)でした。
10位は、世界有数のイノベーション企業であるAmazonが取り組む先進的な働き方について、同社の人事部に取材した「Amazonが『働き方改革』よりも大切にするものとは」(8月6日)でした。記事によれば、Amazonには「働き方改革」は存在しないようです。一体、どういうことなのでしょうか?
8月は、1位が働き方改革、2位と3位がDXに関する話題でした。いずれのテーマも、すでに取り組みを進めている企業と、まったく取り組んでいない企業では、今後大きな差が開いてしまうことが予想されます。働き方改革にもDXにもあまり取り組めていないという企業は、これらの記事を参考に、検討を進める良い機会としてみてはいかがでしょうか。