Bizコンパスの人気記事をアクセス数順に紹介する「Bizコンパス 月間アクセスランキング」。今回は4月アクセスランキングを発表します。アクセス数1位を記録したのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるためには、実は“あの部門”が重要であることについて解説した記事でした。
1位に輝いたのは、デジタルトランスフォーメーション時代の情報システム部の在り方について、IDC Japan株式会社・寄藤幸治氏が解説した「情シスが“レガシー部門”になると、DXは進まない!」(3月29日公開)でした。
IDC Japanが公表したアンケート結果によれば、企業がデジタルトランスフォーメーションを推し進める際、プロジェクトの中心となる部門は、社長/CEOやCDO(Chief Digital Officer)直轄の「デジタル専任部隊」が、最も多い結果となりました。デジタル専任の子会社/関連会社と併せると、約28%の企業が、デジタルトランスフォーメーションのための専属組織を立ち上げていることになります。
一方で、これまで企業ITを担ってきた「情報システム部門」および「情報システム子会社」と回答した企業は13.1%にとどまっており、組織横断的なプロジェクトチーム(17.7%)や既存の事業部門内(17.4%)よりも低い結果となりました。寄藤氏はこの結果について、「情報システム部門は古いITを運用する過去の組織で、“レガシー”になりつつある。そういった見方をしているデジタル関係者は多い」と述べます。
しかし、情報システム部門とデジタル推進部門、あるいは事業部門が個別に投資を行えば、データの利活用やインフラの構築が個別最適となり、新たな問題が生じかねません。実際にデジタルトランスフォーメーション先進企業の多くが「組織をまたがるデジタルプロジェクトの統合」に課題を感じているといいます。
寄藤氏は本記事において、このような状況の中でこそ、情報システム部門が中心となり、プロジェクトを進めるべきである、と提言しています。具体的なプロジェクトの進め方については、ぜひ本文を参照してください。
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2位は、SDN技術を用いてユーザビリティと安全性を両立する学内LANを構築した、高知工科大学の事例を取り上げた「SD-LANソリューションを活用して高知工科大学が構築した『学内LAN』とは」(4月5日公開)です。
同大学はこれまで学内LANをはじめとするIT基盤の整備に力を入れてきました。たとえば、学生が最先端の技術に自由に触れられるよう、ネットワークやワークステーションも常時開放してきたそうです。
しかし、情報部長 法人本部情報部長 古谷陽氏は近年、学内ネットワークを取り巻く環境が「大きく変化した」と指摘します。学生が個人で持ち込む端末が増えたことなどにより、ウイルス感染どのリスクが顕在化していたと言います。
こうした事態を受けて、同大学ではセキュリティを強化するために、学内LANの刷新を決断しました。しかし、やみくもに安全性を高めるばかりではユーザビリティが損なわれ、研究や実習の妨げになってしまう可能性があります。そこで同大学は学内LANの更改に向けて3つの条件を設けました。
1つ目が、学内LANの不正通信を確実に検知すること。2つ目が、検知した不正な端末を特定し、通信切断など迅速な対処により二次被害を防止すること。3つ目がPC、スマートフォン、タブレットといった学外からの多様な持ち込み端末に対応するため、端末にプログラムをインストールしない“エージェントレス監視”であることです。
これらを解決する手段として採用されたのがNTTコミュニケーションズの「SD-LANソリューション」です。このサービスは、ネットワークの運用状況をSOC(セキュリティ・オペレーション・センター)で集中監視し、不正な通信の可視化、検知及び対処を迅速化するもので、同大学の要望にフィットするものでした。
使い勝手に配慮した「ユーザビリティの確保」、安全性を担保する「セキュリティ対策」という相反するものを、高いバランスで両立させることは簡単ではありません。高知工科大学の取り組みは、安全かつ柔軟なネットワーク構築の新しい選択肢の一つになるでしょう。
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3位は2019年4月3日~5日に東京ビックサイトで開催された展示会「第三回 AI・人工知能EXPO」のレポート記事「来客の受付から工場の異常検知まで、AIの適用範囲は広がっている」(4月17日公開)でした。
本記事では同イベントに出展していたNTTグループブースに注目。ブースでは人の可能性を拡張する「人を支えるAI」、産業競争力の強化、社会課題の克服に向けた「社会を支えるAI」という2つの視点から、さまざまな場面に適応する最新のAIソリューションが展示されていました。
「人を支えるAI」に関するエリアでは、RPAや音声認識、チャットボットなど、ビジネスの現場を効率化し、働き方改革の実現に役立つAIの取り組みが展示されていました。たとえば、議事メモを自動作成してくれる音声認識ソリューション「COTOHA® Meeting Assist」もその1つ。会議や打ち合わせの内容から、AIが重要な単語を自動的に抽出し、議事録作成の手間を軽減してくれるサービスです。
一方、「社会を支えるAI」に関するエリアでは、工場に導入された生産設備の状態の確認や、企業の意思決定のサポートなど、社会に大きな影響を与えるAIの活用法が提案されていました。
今回の「AI・人工知能EXPO」では、人の仕事や暮らしのそばにあるミクロ視点のAIから社会インフラというマクロ視点のAIまで、幅広いソリューションが展示されており、これらの中には、すでにサービスが本格的に開始されているものもあります。ICT、特にAIを活用した業務改善を考えている場合は、ぜひ一読することをおすすめします。
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4位は、株式会社デンソーのデジタルイノベーション室の室長である成迫剛氏が主催する、IT技術や業界トレンドなどに関する有志の勉強会「白熱塾」のイベント取材記事「イノベーションは社内だけでは生まれない!『白熱塾』イベントレポート」(4月3日公開)でした。
本記事で取り上げた白熱塾は、2月21日に開催された、DXやイノベーションをテーマとした「白熱塾 拡大版」。白熱塾は「ワインを飲みながらITを語る」がコンセプトということもあり、登壇者・聴衆者ともにざっくばらんな意見が飛び交いました。
会ではまず成迫氏が「これからの時代のエンジニアの在り方」について言及しました。成迫氏によると、日本人のエンジニアは、どうしてもテクノロジーオリエンテッド(テクノロジーありき)で物事を考えがちな傾向があるといい、その考え方から脱出するためには、大阪のおばちゃんのようにすぐに仲良くなって、気づいたら何か買わせているようなカルチャーこそがグローバルスタンダードであり、目指すべきだと述べました。
同勉強会には主催者である成迫氏のほか、株式会社みずほファイナンシャルグループデジタルイノベーション部シニアデジタルストラテジストで、Blue Lab最高技術責任者(CTO)も務める大久保光伸氏、そしてNTT Comのクラウド・エバンジェリストである林雅之氏、といった多様な面々も登壇。「イノベーションを起こすリーダーは、社内から募るのが良いか、それとも社外から招聘するのが良いか」、「DXを推進する組織のメンバーに求められるスキルは何か」といった、ビジネスにおけるリアルなテーマについて、さまざまな意見を飛び交わせています。
実はこのイベント、リアルな話題が飛び交い過ぎたため、イベントの内容を一部カットしたうえで掲載しています。本記事でもできるだけ記載したつもりではありますが、よりリアルな話題に振れたい場合は、ぜひ白熱塾に参加してみてください。
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5位は、みずほ情報総研株式会社が取り組むグローバルネットワークの最適化を取り上げた「みずほ情報総研が目指す、環境変化に即応可能なIT」(4月10日公開)でした。
みずほ情報総研は、みずほフィナンシャルグループの一員として、システムのコンサルティングやインテグレーション、アウトソーシングなどのITサービス事業を展開しています。
世界的な総合金融コンサルティンググループを目指す同グループにとって、グローバルIT環境は、全世界の顧客に高品質なサービスを提供するためにとても重要な存在です。しかし、そのIT環境を維持するためには、ビジネスを展開する各国側のルールに従いながら進める必要があります。近年は特に情報セキュリティに関するルールが増えており、国ごとに異なる個人情報の取り扱いや改ざん防止のルールに沿うことが求められています。
こうしたルールは、国ごとに頻繁に変更されます。そのため、ルール変更ごとに、IT環境への影響を即時に分析し、手を打てる運用体制を備えておく必要があります。とはいえ、世界中で発生するこれらの業務に、同社だけのリソースで対応することは現実的ではありません。
そこで同社は、世界各国でのシステム構築や運用に強みを持つパートナー企業と連携する道を選びます。「ミッションクリティカル」(生死を分けるほど重大)な金融業界のシステムは、長年“自前主義”が基本でしたが、グローバル化が進み、さらに先進技術を取り入れた新サービス創出が重要な使命となっている現在、自前ですべてを抱えることは困難になってきています。
みずほ情報総研は、どのようなパートナーと手を組み、どのようにグローバルなIT環境を提供しているのでしょうか? その詳細は記事本文でご確認ください。
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6位は、会議や学校の授業といった、少し前までは想像できなかった用途で活用が進むAIの最新動向を紹介する「文脈を理解しコンテンツを生成する、最新AIを解説」(4月17日公開)でした。
7位は企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組む際のデータの重要性を説いた「ゲームチェンジ“する側”に回るためのデータ活用術」(4月19日公開)でした。デジタル化がもたらすビジネスの変化の波に飲み込まれず、逆に波を起こす側に回るためには、どうすればよいのでしょうか。
8位は、残業の減らし方を、習慣化コンサルタントの古川武士氏が具体的に解説した「『自分がやった方が早い』では、残業はなくならない」(3月27日公開)でした。働き方改革が進む中、残業に関する関心の高さがうかがえます。
9位は「なぜ日本の「5G」導入は、世界から遅れてしまったのか」(4月18日公開)でした。海外では次々とサービスが開始されている次世代モバイル通信規格「5G」ですが、日本での導入は2020年になると言われています。日本が出遅れてしまった理由は、どこにあったのでしょうか?
10位は、「三宅陽一郎が語る、人と人工知能が共生する世界とは」(4月1日公開)でした。ゲーム開発者としてAIに深く関わってきた三宅陽一郎氏が、そもそも人工知能とは何か、今後はどのような未来が待ち受けているのか、AIの過去を振り返りながら、AIの未来も見通します。
平成最後となる2019年4月の「Bizコンパス 月間アクセスランキング」をお届けしました。令和の時代を迎え、ICTが活用される場は、より一層増えるはずです。Bizコンパスではこれからも経営課題解決のヒントとなるトレンドを押さえた記事を紹介していきます。