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【投資即決】待ってました、と千葉功太郎が投資したディープテックの巨大な可能性
2021.06.10

IT&ビジネスコラム第10回

【投資即決】待ってました、と千葉功太郎が投資したディープテックの巨大な可能性

著者 NewsPicks BrandDesign

谷ばかりの研究開発を、投資家は伴走者として支える

──開発は順調でしたか?

古本 モノを作って、動かして、性能が出るまで、どんなに頑張っても3、4年かかるんですよね。その間に、自分たちも会社として生き残りながら、いいものを作り上げていかなければいけない。

 1号機が完成するまで、6年かかりました。その間、山あり谷ありではなく、谷あり谷あり、また谷あり、でしたよ(笑)。

 納期が迫っているのに、何ヶ月も、想定していたような性能が出なかったときは泣きたくなりましたね。

 次々に押し寄せてきた技術課題を具体的にはお話しできないのですが、思うようにデータがとれなかったり、次々と部品の故障に見舞われたり、1つ課題を解決しては次から次へと新たな技術課題が押し寄せ、まったく出口の見えないトンネルの中で何度も諦めようかと思いながらも、ひたすら前に向かって走り続けるような感じでした。

 泣いて済むなら泣きますけど、そういうわけにはいきませんから。最後もう、残り100時間くらいのところでうまくいって、ギリギリ間に合いました。

千葉 研究開発型スタートアップの典型的な悩みですよね。性能を実現するスピードと、お金が減っていくスピードのバランスをとるのが難しい。順調にアウトプットが出ないと、売上が立たない、もしくは次の資金調達ができない。でも、そんなに研究開発って、どんどんアウトプットが出てくるものではないですからね。どちらかというと出ないほうが多い。

 スタートアップって大変なんですよ。うまくいかないのが当たり前。だから、相談相手になったり、動ける部分は動いたりと、投資家は伴走者としてなんでもやるんです。

古本 伴走者という言葉はまさにぴったりですね。困っていることがあると、一緒になって考えてくれる。投資家は僕らにとってすごく大切な存在です。

 投資いただけるということは、それだけ期待されているということ。だから期待に応えて、リターンだったり、社会実装だったり、社会問題の解決だったりと、何らかのお返しをしたい。やっぱり最終的に結果を出すことが重要ですよね。それは、石にかじりついても実現しなければと思っています。

千葉 投資家としては、リターンは大事です。大前提として、とても大事です(笑)。でも、「お金を増やしてください」というコミュニケーションはしていないんです。

 そういう言い方ではなくて、メトロウェザーだったら「ドローン社会を支えるインフラにするべく、小型のドップラーライダーを、安く、高機能で実現してください」「ビルの屋上だったらどこでもついているくらいのプロダクトにしてください」と伝える。それができれば、自ずとビジネスの可能性はついてきて、リターンもあるはずなんです。

──投資を受けるのは、国から科学研究費を助成してもらうのとは違うものですか?

古本 全然違いますね。違うというか、逆です。科研費は申請が大変だけれど、アウトプットについては評価されないので。でも投資いただく場合は、「結果が出ませんでした」では許されないですからね。結果に対する責任の重さが違います。

いよいよ身近にドローンが飛び始める

──ドローン業界はこの先、どうなっていくのでしょうか。

千葉 実証実験がここ2年くらいでだいぶ進んできました。エアモビリティについても、今年の8月には、日本のスカイドライブという企業が人や物を乗せて飛べる「空飛ぶクルマ」の有人飛行に成功したというニュースが出ていました。こうした実証実験を経て、2030年までに社会実装の第一ステップが完了すると考えています。

 普及のポイントは3つあります。まず技術。これはどんどん技術開発が進んでいます。次に法律。これは、2015年4月に首相官邸にドローンが落下した事件によって、同年12月に航空法が改正されました。「無人航空機」というものが定義されたんです。ここから少しずつ法整備も進んでいます。

 最後が社会受容性。人々がドローンやエアモビリティが欲しいと思うようになるか。こうした新しい技術が敵ではなく味方だと思えるか。このあたりが乗り越えるべき壁になってきます。

──社会実装ということは、ドローンのサービスがもっと身近になってくる?

千葉 はい、やっとですね。この1〜2年で、多くの人がドローンやエアモビリティのサービスに触れたり、使ったり、乗ったりできるようになるはずです。僕らはそこに注力しています。そのためには既存の企業や事業者と協力し、既存のサービスにドローンを組み込んでいくことが必要になります。

 社会受容性を獲得するためには、いろいろやったほうがいいんですよ。例えば、昔からドローンでピザの宅配をしたらどうなるか、といったことが言われてますよね。きっと、みんな見てみたいんだと思うんです。だったら、ピザの宅配をやればいい。

古本 ピザの宅配をするとなると、なおさら墜落したら困りますよね。そこで航空機みたいにドローンにも航空管制システムが必要になってくると考えられます。ドップラーライダーはそこにデータを出していく、という未来像を描いているんです。

千葉 空の産業革命がこれからきっと起こる。その基幹システムに使われると考えたら、ものすごく可能性があります。ちなみに、飛行機にドップラーライダーを載せることは可能ですか。

古本 できますよ。

千葉 えっ、できるんですか。今飛行機ってある程度の大きさであれば雨雲・雷雲レーダーは積んでるんですよね。さらに風がリアルタイムでわかるドップラーライダーが加わったら、航空機の世界が相当変わりますね。小型化にはこういう魅力があるんですよ。

古本 今、移動体に載せるライダーの開発をしているんです。速度が上がるほどデータ取得が難しいので、まずは自動車から始めています。1、2年したら飛行機にも搭載できるようにしますよ。

千葉 うわー、それができたら飛行がより安全になります。航空業界がひっくり返りますよ。ぜひお願いします。

(編集:中島洋一 構成:崎谷実穂 写真:加藤麻希 デザイン:田中貴美恵)

※本記事はNewsPicksに掲載された記事です。

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