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デザイン思考だけじゃ「企業変革」はできないのか
2021.06.01

IT&ビジネスコラム第7回

デザイン思考だけじゃ「企業変革」はできないのか

著者 NewsPicks BrandDesign

KOELという存在自体が、企業変革のプロトタイプに

──NTTコミュニケーションズ社内にデザイン組織「KOEL」を立ち上げる原点は、一体どこにあったのでしょうか

金 原点は2010年ごろまで遡ります。入社した当初は新規事業創出に取り組んでいたんですが、優秀な社員が揃っているのにどうもうまくいかない。同じところをぐるぐる回って、結果につながらない感じがあったんです。そのうち優秀な仲間が辞めていったりもして……。

 そこにデザイン思考との出会いがあって、これなら事業の成功に向けて、確実に前進させられるはず、と自身の事業作りに没頭しました。その後、UXデザインの専門チームを立ち上げたことをきっかけに、リーダーとして全社のサービスデザインへと動き出しました。

井上 とはいえ、経営幹部の理解を得るのも簡単ではないわけです。金さんは社内のステークホルダーを1人ずつ口説いていましたよね。その人向けに違う資料をそれぞれ作って、話したことを齟齬のないように整理し直して……。よくそこまで粘り強くやられたなと。

金 あまりにも話が進まなくて、最初は怒りの感情で動いていたときもありましたけど(笑)、やっぱり少しずつでも仕組みが整っていくのはおもしろいんです。社内で反対する人がいても、その背景や感情を分析すると反対する理由も理解できるようになりました。

井上 金さんの場合はプロダクトやサービスを作っているだけではないですよね。さらに「会社全体をデザイン思考でどう変革していくか」という、もう一段高いレイヤーで戦っている。

金 そうですね。いまKOELでは、社内の技術部門やサービス開発部門と連携し、戦略立案や事業開発、コミュニケーション支援に至るまで、組織を横断してビジネスの場にデザインの力を取り込んでいます。

 前身の組織である経営企画部 デジタル・カイゼン・デザイン室でも、「顧客志向経営」をキーワードに、経営戦略の軸にデザイン思考を採用していました。

 やはり、上のレイヤーに行かないと変わらないものもあると思うんです。大きな企業であるほど組織が縦割りになっているので、各組織が相互にうまく動くことを考えるには、上位のレイヤーから考えないといけない。

 そうやって徐々に視座を高くしていった結果、企業理念まで考えるようになり、2019年にはNTTコミュニケーションズの新たな企業理念「人と世界の可能性をひらくコミュニケーションを創造する。」を策定しました。こういった経験や実績が、いまのKOELへとつながっていきました。

──井上さんから見て、KOELという組織はどのように映っていますか。

井上 NTTコミュニケーションズ社内にありながら、ひとつの企業体のように動いていますよね。ミッション・ビジョンがあり、個別のWebサイトがあり、採用や評価についても人事ではなくKOEL内で決めている。

 つまり、意志決定権限やリソース配分が既存事業からリデザインされている。ここもひとつの「一点突破」だと思うんです。KOELがリデザインしてくれたおかげで、今後このやり方を真似た組織が生まれる可能性がある。

 KOELという存在自体が、企業変革のプロトタイプになっていると感じています。

金 確かに、そうかもしれませんね。デザイナーの評価体系も新たに設けましたから。最近は現場に社内外から新しい優秀な人も入ってきてくれて、ようやく実践に対応できるリソースが整ってきたところです。業務プロセスや組織デザインなどの上流も見つつ、個別のプロジェクトでも結果を出していこうと。

 ただ、あまり上流に振りすぎるとそれこそ「現場との距離が広がる」ことになりかねませんので、やはりバランスも必要だなと思っています。

井上 その意味ではKOELとKESIKIがコンセプト立案をリードし、UI・UXデザインを担当したオンラインワークスペース「NeWork」がいい事例になりますね。

金 NeWorkは「リアルより気軽に話しかけられる」ことを目指したツールで、ユーザーはプロジェクトや話題ごとに作られた「バブル」と呼ばれる“話の輪”に入って会話をします。バブルに入らなくても、メンバー同士で“立ち話”もできる。会議も雑談も両立した空間になるよう意識しました。

 開発では既存のオンライン会議システムをなぞるのではなく、改めてリモートワークの課題を洗い出していきました。

井上 「デザイン思考を実践する人」「DXを実装する人」「環境を整える人」の3レイヤーがうまくかみ合ったプロジェクトで、完成までの期間も調査1ヶ月、開発2ヶ月というスピード感でしたね。

金 ユーザーとの距離、実装との距離が見事にマッチしたチームでした。組織に属する人たちが、自由に自分の創造性を最大限発揮するのがデザイン思考であり、そのためには組織のあいだにある壁を取り払わないといけない。このことを体現できたプロジェクトだったと思います。

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