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デザイン思考だけじゃ「企業変革」はできないのか
2021.06.01

IT&ビジネスコラム第7回

デザイン思考だけじゃ「企業変革」はできないのか

著者 NewsPicks BrandDesign

※本記事は2021年1月22日にNewsPicksに掲載された記事です。

 問題解決のアプローチとして、熱い視線を集め続けている「デザイン思考」。近年は企業経営にもデザイン思考を取り入れる動きが活発化しており、ビジネスを加速させる力として大きな期待が寄せられている。

 そんななか、NTTコミュニケーションズが昨年4月に、新たなデザイン組織である「KOEL」を立ち上げた。

KOELは、NTT Communicationsのデザインスタジオ。2020年4月の組織再編で、事業変革・事業創出を目的としたイノベーションセンターを設立し、その一環としてデザイン組織を設立。

 なぜ大企業にデザイン思考が求められているのか。そして、デザイン思考を経営戦略に取り入れ企業変革をするには、どのような障壁をクリアせねばならないのか。

 KOEL立ち上げの中心人物である金智之氏と、KOELのパートナーを務めるクリエイティブファーム・KESIKIの井上裕太氏に話を聞いた。

企業の変革を阻んでいるものは何か

──そもそもなぜ、ビジネスにデザイン思考が求められるようになったのでしょうか?

井上 経営者が「自分たちのビジネスで誰をどう幸せにするのか」という原点に立ち返る必要が出てきた、というのが、ひとつの理由だと思います。ビジネスは成長すればするほど、経営者とユーザーとの距離が離れてしまうものです。

マッキンゼー、WIREDの北米特派員、TBWA HAKUHODOなどを経てスタートアップスタジオのquantum Inc.設立に参加。CSOやCIOとして大企業やスタートアップとの共同事業開発及び投資を主導。Panasonic Game Changer Catapult、JR東日本 ON1000、LION NOILなどの新規事業開発プログラムを立ち上げた。その後カルチャーデザインファームのKESIKI INC.の設立に携わり、現職。

 かつては目の前のお客様に喜んでもらうために始めたビジネスなのに、経営者とユーザーとの距離が離れるほどユーザーが求めるものがわからなくなってしまう。最終的にはExcel上の数字でしかユーザーを把握できず、「今の数字さえ良ければそれでいい」となりやすい。

 でも「本当にそれでいいのか」という揺り戻しがきている。CSV(共有価値の創造)やSDGsへの注目もそのひとつの表れだと感じています。そこで改めてビジネスを再定義しようというときに、デザイン思考が有用なものとなります。

 デザイン思考のフレームワークは、ユーザーについて理解を深め、問題を定義するところからスタートします。「ビジネスが誰をどう幸せにするのか」から出発するわけです。

金 時代の変化に合わせて進化を続ける企業になるには、組織としていかに「試行錯誤」ができるか、個々人が自律的に創造性を発揮できるかが問われます。

 ユーザーの理解から始まるデザイン思考は、そのあとアイデア創出、試作、テストと続き、仮説検証のループをぐるぐる回し、まさに試行錯誤しながら、ユーザー理解の解像度を高める。

 そこから真の課題を見出し、最適なソリューションへとつなげる。まさにこれからの経営の課題を解決する手段として、欠かせない存在になりつつあります。

九州芸術工科大学卒。2005年、NTTコミュニケーションズ株式会社入社。音楽配信サービス、映像配信サービスなど数多くの新規事業開発を経て、11年にUXデザインを社内に普及推進するUXデザインスタジオを設立。デザイン戦略立案、事業部門との実践活動、人材育成活動などに従事。2020年4月デザイン組織「KOEL」設立に携わる。HCD-net認定人間中心設計専門家。

──一方で、DXがうまくいかない、デザイン思考を知ってはいるけど、どう実践していいかわからない、という声も聞きます。なにが障害となっているのでしょうか。

井上 DXやデザイン思考は、あくまで変革のためのツールでしかありません。まずは、前提にある「企業の変革を阻んでいるものはなにか」を見極める必要があります。

 そもそもの企業変革を阻む要因としては、大きく3つあると考えています。

 1つは、先ほどもお話しした「ユーザーとの距離」。会社が大きくなるほど、経営者とユーザーが直接話す機会はなかなか訪れません。ユーザーが求めているものがわからなければ、なにを変えるべきかもわからない。とはいえすべてのユーザーに会うわけにもいきませんので、デザイン思考などの仕組みが別途必要になります。

 2つめは「実装との距離」です。組織が大きくなるほど、意志決定者と実装の現場は離れていくもの。担当部署を決め、予算取りがあり、計画を立て、外注先を決めるコンペをし……と、何らかの工程が挟まるほど実装までの時間とコストがかかってしまう。意志決定者の思いと、実装されるものが一致しない可能性も高まります。

 最後のひとつが「既存事業への最適化」。既存事業に一生懸命取り組んできた企業ほど、社内のありとあらゆるプロセスが既存事業へ過度なまでに最適化されています。

 裏を返せば、既存事業から外れたものに対しては効率が落ちたり障害があるということ。新しいことをやろうとしても、他社の事例を求められたり、検討に時間がかかったり、ということが起きがちです。

 ユーザーとの距離、実装との距離を縮め、既存事業への過度な最適化からいかに脱するか。この3つを考えることが、変革を前に進める大前提だと考えています。

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