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【大盛況】新規事業に挑むカルチャーをどう育むか
2021.05.13

IT&ビジネスコラム第5回

【大盛況】新規事業に挑むカルチャーをどう育むか

著者 NewsPicks BrandDesign

※本記事は2021年3月5日にNewsPicksに掲載された記事です。

 新規事業の創出の重要性が加速度的に増している。コロナ禍を機に、日本企業を取り巻く変化の潮目が露わになってきた。

 変化に対応するには事業創出が何よりも必要となる。しかし、うまくいかない事例も多い。

 そこには大企業特有の「イナーシャ(組織慣性の法則)」が働いていると新規事業開発支援のスペシャリスト・フィラメント代表の角勝氏は言う。

イナーシャ(組織慣性):組織が、慣性の法則のように元に戻ろうとする力、現在の状態を継続しようとする性質のこと

 そんな角勝氏が、アドバイザリーを務めるNTTコミュニケーションズの新規事業創出コンテスト「DigiCom」と、新規事業創出支援プログラム「BI Challenge」が活況だという。

 社員のアイデアが続々と湧くコンテストはいかに生まれたのか?

 イナーシャを中和して、ビジネスを創出する秘訣とはいったい何か?

 角氏と共に、「DigiCom」を支えるNTTコミュニケーションズイノベーションセンターの斉藤久美子氏、「BI Challenge」プロデューサー兼事務局のテ ナイン トン氏に話を訊いた。

新規事業創出のリアルな課題とは何か?

──まず、大企業で新規事業が大事だと言われて久しいですが、うまくいく事例が少ないのはなぜでしょうか?

角 新規事業の創出がうまくいかないのは、「大企業であること」自体が大きな課題だと考えています。

2015年より新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業において事業開発の適任者の発掘、事業アイデア創発から事業化までを一気通貫でサポートしている。オープンイノベーションを目的化せず、事業開発を進めるための手法として実践、追求している。「DigiCom」には2018年から参画。1972年生まれ。

 まず短期的には既存事業のほうが売上を伸ばせます。5000億円の売上がある事業があれば、それを5050億にするのはイメージしやすい。

 一方で、新規事業で1年目から50億円の売上を作るのは相当ハードルが高くなりますよね。新規事業は失敗する可能性も高いので、どうしても及び腰になる。

 既存事業で稼げている組織にとって新規事業を作ろうとする取り組みはノイズに見えてしまいます。だから、新しいことはやりにくい。組織が大きくなればなるほど、その傾向が強まっていきます。

 新規事業創出に関して、オープンイノベーションという方法が使われるようになりましたが、これもうまくいっていない企業が多いと感じています。

──オープンイノベーションがうまくいかない理由は何でしょう?

角 たとえば、多くの会社がオープンイノベーションのための施設を作っていますよね。でも、自社の関係者以外は誰も来ないような不便な場所に作ってしまう。これでは外部の人間が来てくれません。オープンイノベーションにはならないわけです。

──それはアクセスの悪い場所そのものというより、オープンイノベーションの姿勢が顕著に表れているということでしょうか。

角 まさにそう。「内向き」な姿勢の表れです。

──では、新規事業の創出がうまくいくためのポイントは何だとお考えでしょうか?

角 大組織の「イナーシャ(組織慣性の法則)」を中和することです。

 「イナーシャ」とは経営学の用語で、慣性の法則のように元に戻ろうとする力、つまり新しいことをやろうとするといつの間にか潰されるような力のことをいいます。大きな企業はこのイナーシャがすごく発生しやすい。

 イナーシャを中和するためには、新規事業を育成するための社内の制度や、新規事業を大事にしていこうというカルチャーを作ることです。

本取材はオンラインで行われた

 そこで大事になるのが、経営トップの意志です。

 ただ、トップがメッセージを出しても、中間管理職の人たちなどに響かない。なぜなら、彼らには売上など達成しなければいけない数字があり、それに全精力を傾けなければいけません。新しいことをしている余裕がない。

 だから、経営トップが自分のメッセージを会社の中にどう織り込んでいくかが重要になります。

──経営トップは具体的にどのようなアクションを起こせばいいのでしょうか?

角 たとえば、インキュベーションプログラムを作るとき、経営トップもそこにコミットして新規事業の大事さを常にアピールし続けること。つまり、言葉以外のメッセージの出し方が非常に重要になります。

 もちろん新規事業の創出に対して、何らかのインセンティブや評価制度を作ることも必要です。

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