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【太田直樹✕藤井保文】謎ワード「スマートシティ」をリードするプレイヤーは誰か?
2021.04.22

IT&ビジネスコラム第3回

【太田直樹✕藤井保文】謎ワード「スマートシティ」をリードするプレイヤーは誰か?

著者 NewsPicks BrandDesign

シビックテックに見る「トライセクター」の可能性

──太田さんは以前ブログで、パブリックセクターとプライベートセクターを越境する「トライセクター・リーダー」の重要性を訴えていました。その考えにも通じる話でしょうか。

太田 そうですね。例えば僕が理事をしている「Code for Japan」がわかりやすいと思います。

 この団体は、ITスキルを活用して社会課題の解決に取り組む市民参加型のプロジェクトや、民間企業に所属するIT人材の公共機関へのマッチングなどを展開しています。

 いわゆる「シビックテック」と呼ばれる領域のプレイヤーで、最近だと東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」をオープンソースで開発しました。

──開発から公開まで2日というスピードや、台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン(唐鳳)さんがサイト改善に加わったことでも話題になりましたね。

藤井 僕も「Code for Japan」のファンです。テクノロジーで社会をよくしたいという意思と能力を持った人たちが集まっていて、とても可能性を感じます。

太田 その取り組みが評価されて、コミュニティ人口や案件がかなり増えてきました。IT人材がパブリックとプライベートを行き来して公共の課題を解決する形が、コロナ禍で日本でも注目されたのは良いことだと思います。

DXの基盤は「ソーシャルグッド」

──最後に、少し視座を未来に移して、これから5年から10年先、社会変革を進めていくにあたり、何が大事になってくると思われますか。

藤井 いかに、ソーシャルグッドに資するかが大切ではないでしょうか。

 ビジネスである以上は企業としての持続可能性も大事ですが、あまり商業側に寄り過ぎると、個人データや公共資源を扱う上でリスクになることもあります。

 中国国家による統治について、様々な意見はあると思いますし、否定するつもりはないのですが、一方で中国の起業家たちを見ていると、自国の制度に制限をを感じながらも、どうすれば国民がより良く暮らせるかという社会貢献の観点でコミットしている人が多いんです。

 その姿勢が、デジタルの世界であれだけのダイナミズムを生み出しているのではないかと感じています。

太田 同感です。もう少し具体的にいうと、デジタル資源を、国家や一部のITジャイアントだけが占有するんじゃなくて、もう少し市民やスタートアップに開いて、共同で管理する。いわゆる「デジタルコモンズ」が拡大していくと良いなと思っています。

 オープンデータ、オープンソースを基底にして、「都市✕地域」とか「官✕民」で協働していく可能性をもっと模索していきたいと思っています。

 「Code for Japan」による東京都のコロナ対策サイトも、コードを書ける人だけで作ったわけではありません。テクノロジーを共通項に、いろいろな人々が力を結集して作ったものです。

 その流れの中で、Code for JapanではDIY型スマートシティのプロジェクトがおもしろくなってきています。国家や巨大IT企業が主導するスマートシティへの代替案になる可能性があって、多様なプレイヤーが参加できるデジタルコモンズになることを期待しています。

藤井 公共性の高いインフラ系の大企業やスタートアップ、あるいは先ほどのCode for Japanのようなシビックセクターが、リードしていけると理想ですよね。

太田 奇しくも、朝から晩までオフィスにいなくてもいい時代になってきています。だからこそ、そういった世界観は絵空事ではなく、現実的になりつつあるのではないでしょうか。

(編集:中島洋一 構成:吉田直人 撮影:吉田和生 デザイン:岩城ユリエ)

※本記事はNewsPicksに掲載された記事です。

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