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日本のテレワークは「100歩進んだ」–ブイキューブ間下社長が占う2021年の働き方とは
2021.01.18

IT&ビジネス最新ニュース第98回

日本のテレワークは「100歩進んだ」–ブイキューブ間下社長が占う2021年の働き方とは

リアルとリモートのハイブリットで選べる働き方が定着する世界へ

――テレワーク、そして働き方で大きな変化があった2020年を踏まえて、間下さんが考える2021年の展望をお話いただけますか。

 選べる働き方の定着が進んでいくと感じています。今までは働く時間と場所が決まっていて、過去の成功体験に基づく画一的な働き方でここまできました。これが、それぞれ選んでいい時代になっていく。もちろん決められたほうが楽という場合もありますけど、そのことを選べることも大事です。選べると自分のライフステージやコンディションによって変えることができますから。

 そして、必ずしも東京にいる必要もなくなってくるのではないかと。それこそ20~30代前半ぐらいは、東京で働いて生活することのモチベーションが高いと思いますけども、歳を重ねて家族ができるなどライフステージに変化があったりすると、そうじゃないかもしれない。でも、地方に仕事があるかと言われたら、仕事に乏しくコミュニティもないという状況が現実にあります。そうなると、結局東京にいるしかないという、選べない状況が続いています。こういうところも変わってくるのではないかと。

 東京から1時間圏内の都市では、招致合戦というくらい人を呼び込もうという動きもありますし、選べるということが価値につながります。そして本人の生産性や満足度、生活の質の向上にも繋がりますから。ただし、格差は出てきます。選べるだけの能力がある人や、働き方ができる会社、その仕事ができる人はいいですが、そうではない仕事も当然あるわけで。そこに従事する人たちをどうやってフォローして底上げするか、それを政策的にも考えなくてはいけないと思います。

 それでも、子どもが生まれたからとか介護のために仕事はできないといったことや、東京をはじめとした首都圏大都市でないと働けないという事が減るとしたならば、これだけでも一定の社会課題の解決に繋がると思います。とにかく、日本は選択肢に乏しい国だと思っていて、選べるということは豊かな社会作りには重要だし、そういう時代になっていく光が見えたのではないかと。

 もっともこのことは、新型コロナの流行前から浮き彫りになっていた社会課題と、その解決に向けた考え方で、何も新しい話ではありません。リアルとリモートのハイブリットで選べる働き方が一段と進んで、その世界が見えやすくなったのが、今の状況だと思っています。

 私の考えでは、今の状況においてハイブリットであることが健全だと捉えていて、全ての活動をリモートにする、オンライン化にするということには限界があります。私自身も人と会うべき時には、直接会ったほうがいいと考えています。なので、新型コロナで制約がかかっている状況もよくないです。ワクチンなどが早期に開発され、いろんな状況が普通に戻ったうえで、ハイブリッドの考え方を取り入れた選べる働き方ができて、生産性を上げることのほうが重要です。そして今は、日本の遅れている生産性を改善できる可能性が見え始めているところにあると思います。

 ビジネスイベントもそうです。必ずしもオンラインのみでいいわけではなく、実際に人を集めたほうがいいイベントもありますし、たまに直接会ってお話したほうがいい場面もあります。それも主催者なり参加者が選べる状況というのが重要。これからはハイブリットで展開するという考え方が、一気に定着していくのかなと感じています。

――テレワークの定着という観点での展望はありますか。

 まず、大手企業はテレワークがもうすでに浸透している状況ですし、ある程度のレベルの会社には、すでに定着していると感じています。ただ、在宅勤務が定着するかといえば、そうは思いませんし、オフィスは不要という方向にはいかないと思います。今は、テレワークの考え方そのものは定着していて、裾野をもう少し広げないといけないというフェーズにあると考えてます。

 中小企業に対して行政のテレワーク支援は必要だと思いますが、テレワークそのものは変える気があるかどうかの話ですし、きっかけ自体はもうできています。ここでも社外との対応がカギで、中小企業であれば、取引先となる大手企業がテレワークやリモートでの対応をしてほしいという要望があれば、変わらざるを得ないでしょう。遅れているところの支援も行き届いて、だんだんと機能していくと思います。本当に余裕がないところへどう支援していくかという課題はありますが、定着については時間の問題で、そんなに心配していないです。

――ワーケーションという言葉や考え方が最近注目されています。それはどのように感じていますか。

 最近になって言葉が着目されるようになってますが、これもテレワークにおける働く場所を選ばない、働き方の選択肢を増やすことの延長にある話です。

 私自身のことでお話すると、そもそも経営者はワーケーションができないと休めないものです。経営者は24時間365日働いて、24時間365日働いていないとも言えます。常に連絡が取れてやり取りができないと会社が止まってしまう存在でもありますから。そうすると、もともと長い休みが取れません。

 それでも、家にいようがリゾートにいようが変わらず、どこでも働けるようになってくると、1~2週間休みますといっても100%休まない状態を簡単に作ることができますし、8割家族と一緒にいる時間と2割仕事するということも可能です。そうなると、今まで休めなかった人が休めるようになる可能性が広がるわけで、生活の豊かさにつながるものだと考えます。

 ただ働き方に関する法律が、テレワークやワーケーションを前提にしたものではありません。労務時間の管理をどうするかなど、見直していく必要はあります。ほかにも、家庭からの理解も必要です。仕事と私生活を切り分けると、かえってワーケーションできないです。ワークライフ“バランス”ではなく“トゥギャザー”の考え方なので。それが受け入れるのであれば、楽しめると思います。

――ブイキューブとしての展望はありますか。

 ブイキューブはウェブ会議システムのイメージが強くあります。もちろんこれからもサービス展開を続けていきますが、予期せぬこととはいえ、ウェブ会議を日常的に活用する文化の定着は、ある程度達成できたところはあります。これからはイベントやテレキューブなど、新型コロナによって一気に広がったマーケットに注力していく方針です。

 目先のところでは、イベントオンライン化の支援と事業をどのように大きくしていくかを考えています。また、ありとあらゆるものがリモート化していくので、映像と音声のSDKサービスなどを通じて提供して支援していくことも積極的に広げていく考えを持っています。

 テレキューブはニーズが高くなっていますし、普及も急速に進んでいるので、それを活用したインフラ化も考えています。銀行や行政手続きといったことも可能ですし、遠隔医療についてもヘルスケア相談サービスの実証実験をしてます。私たちとしては、テレキューブは大きなスマホをイメージしているところもあります。アプリの機能の載せることも可能ですし、それでいて一等地にも設置しているわけですから。そのことを活用したサービス展開も将来的には考えていきたいです。

 ブイキューブでは、かねてからミッションとして「Evenな社会の実現」というのを掲げています。人と人が会うコミュニケーションの時間と距離を縮めることで、より豊かな社会を実現するとともに、誰もが境遇に左右されず、社会を担うすべての人が機会を平等に得られる社会の実現を目指すというものです。その社会が急に近づき始めていますし、社内でもこのことに共感して働いている方が多く、世の中に役立っていると実感できる状況にあるので、モチベーションは上がってます。今までやろうとしたことを、より推進いきたいと思います。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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