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上場を果たした飲食口コミ「Retty」代表に聞くコロナ禍の成長戦略–Go To Eatや飲食業界への思いも
2020.12.17

IT&ビジネス最新ニュース第91回

上場を果たした飲食口コミ「Retty」代表に聞くコロナ禍の成長戦略–Go To Eatや飲食業界への思いも

データのアセットを活かし、店舗の業務支援にも拡大へ

——食べログやぐるなびなど、同じように上場している飲食店舗向けサービスの競合企業があるなかで、御社ならではの強みや違いをどう活かして戦っていくのか、今後の成長戦略についてお聞かせください。

 われわれのビジネスは飲食店向けの集客支援がメインですが、そのなかの1つの特徴としては、新規の送客だけでなく、その後のお客さんとのつながりを作れる、というところがあります。

 実名制のおかげでやりやすいところもあるんですけれども、お礼メールを送りリピーターを増やし、顧客を管理する。新規のお客さんの集客に加えて「ストック」もしていく、といったような特徴もあるので、そこについては今後も力を入れていきたいと思っています。また、個店を中心に東京だけでなく全国にも広げていきたいと思っていますし、引き続き拡大路線でいきたいですね。

 上場で得た資金の用途についても、既存のビジネスを大きく伸ばすために使いたいと思っています。優良店舗を獲得する営業人員や代理店、サービスを開発するメンバーも非常に重要ですので、そこをしっかりと伸ばしていく。あとは今準備しているモバイルオーダーを含む新規事業を大きくしていこうと考えています。

——サービスの方向性としては、プラットフォームの機能をどんどん増やして広げていくイメージと、今の事業を伸ばしつつ少しずつアップデートを繰り返していくイメージのどちらになるでしょう。

 そういう意味ではプラットフォームを広げていくという方向性です。たとえばこのコロナ禍ではテイクアウト関連の機能をリリースして優良店舗の獲得が一気に増えました。われわれにはすでに多くのお客様がいて、「テイクアウト」で検索したときにRettyが検索エンジンの上位に表示されたりするところも要因になっているとは思いますが、われわれのなかにデータのアセットが揃っていること、飲食店とのつながりがあることが強みですので、それを踏まえてビジネス展開していきたいと思っています。

 そのうえで、新たなモバイルオーダーの機能も飲食店舗が固定費を減らせるソリューションにしていきたいと考えています。われわれがもつデータから分析して活用しやすい飲食店などを中心に展開していきたいですね。集客に加えて、飲食店の業務支援にもつながるような仕組みも作っていきたいと思っています。

 あとは広告事業よりも大きく伸びそうな集客支援、FRMの方に力を入れていくつもりです。Rettyの加盟店はまだ1万店舗ほどですから、ここを2万、3万、4万、5万へと早期に引き上げていければ。

——Rettyには飲食業界に対してデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)など、そういった面からの支援に期待している人も多いかと思います。

 たしかにわれわれの会社のいいところは、変化に素早く対応できることだと思っています。さまざまなデータのアセットによって各企業・各店舗ごとのニーズが把握でき、それに対応するだけでなく、そこから発生するだろうニーズに対して新しい体験を提供することもできると思いますから、どんどん先手を打って進めていきたいですね。

 飲食店の方では、デジタル化やDXは、一度「やらざるを得ない状況」みたいなものができると変わるところもあると思います。その点、Go To Eatキャンペーンは大きかったですよね。多くの店舗にとっては、グルメサイトのネット予約を活用するという体験がきっと初めてだったはずです。その体験がおそらく今後に活きてくるんじゃないでしょうか。

——Rettyは、グローバル展開もスタートしています。タイ版のRettyがかなり大きく伸びているようですね。

 タイでは2017年にテスト運用を開始し、日本と同じように、最初は口コミを投稿するフェーズでした。情報、コンテンツを集める期間が2年と少しあり、口コミもある程度集まってきたところで、大きくユーザー数を伸ばすためにリニューアルなどを仕掛けました。2020年1月に正式にローンチし、おかげさまで現在は急激に成長していく段階になりつつあります。

 最初にタイを選んだのは、人口が約7000万人と多く、われわれが調査したところでは、口コミを投稿するようなインフルエンサーの方が多く存在する印象だったことが1つ。口コミを投稿してくれる土壌がなければ始まりません。

 それと、タイの飲食店の多くは販促のためにフリーペーパーに数万円ものお金を払っている背景があります。10年前、15年前の日本のような感じでしょうか。そういうフェーズにいるなかで、今後は急速にウェブに変わっていくだろうという見込みがあり、十分にビジネスとして成立するんじゃないか、と考えたのがタイを選んだもう1つの大きな理由です。

――このコロナ禍の厳しい状況の中、飲食業界においてどういったところに勝機があると考えていますか。また、飲食店舗においても、生き残っていくために今何をすべきとお考えでしょうか。

 いろいろな店舗があるので一概には言えませんが、やはり影響の少ないエリア、影響の少ない業態にできるだけ早くシフトするというのは、振り返ると今回は非常に重要だったんじゃないかと思っています。もちろんそんなことに関係ないくらい人気があるお店なら、既存のお客さんがついているので問題はないのかもしれません。

 できるだけ影響が少なく、こういう状況下でも望まれるような業態は、われわれも手探りしながら見出しているところです。そういった環境変化にいち早く、状況が常に変わっていく中で適切に対応していくことが、われわれにも飲食店の方にも、そしてユーザーさんにも求められるんじゃないかなと思いますね。一時期はテラス席の予約が取れなくて、テラスバブルみたいな言葉も生まれました。そういった新しいニーズが今はどんどん出てきていると感じています。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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