Bizコンパス

紙が主体の不動産管理でリモートワークは実現するのか–WealthParkの挑戦と改善
2020.04.22

IT&ビジネス最新ニュース第8回

紙が主体の不動産管理でリモートワークは実現するのか–WealthParkの挑戦と改善

 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、リモートワークが急速に広がっている。その流れは、対面接客が基本とされる不動産業界でも同様だ。来店、内見、契約とあらゆるシーンに対面、紙書類といったオフラインでの作業が伴う不動産会社のリモートワークは実現しているのだろうか。

 WealthPark、スペースリー、イタンジの不動産テック3社が、不動産会社のリモートワークについてオンラインセミナー「ロックダウンへの備え 不動産会社のリモートワークについて」を開催。通常業務からリモートワークへと切り替えた各社のやり方とオンラインで実践するユーザーのやりとりについて話した。今回は「不動産会社の現状と課題感、および管理対応について」をテーマにしたWealthParkについて紹介する。

1カ月以上のリモートワーク実践で見えてきた課題と改善策

 WealthParkは、海外投資家が持つ日本不動産のアセットマネジメント、プロパティマネジメントを請け負うほか、不動産オーナーと管理会社をつなぐデジタルプラットフォーム「WealthParkビジネス」、不動産オーナー向けモバイルアプリ「WealthPark」などを提供する不動産会社。約90名いる社員の半分が外国籍で、東京都渋谷区にある本社のほか、上海、台北、ニューヨークにもオフィスを構える。

 WealthPark SaaS事業部営業部長の石村裕樹氏は、前職のコールセンターで、東日本大震災や熊本地震といった災害を経験し、有事の際の管理会社における大変さを目の当たりにしてきたという。新型コロナウイルスについては、2月初旬から危機感を持って対応をしており、2月下旬にはリモートワーク推奨へと勤務形態を変更。すでに1カ月以上のリモートワーク経験を持つ。

 石村氏は「テレワークという言葉もよく使われているが『テレ』とは離れたという意味。遠隔という意味を持つリモートはテレとほとんど同じ意味合いだが、あえて、チームで働くという意味も込めてリモートワークとしている」と前置きした。1カ月のリモートワークにおける実態を踏まえ、すでに改善にも取り組んでいるという。

 リモートワークは、BCP(災害時などの事業継続)対策、コスト削減、ワークライフバランスの向上、優秀な人材の確保、業務生産性の向上などの目的を持つ新たな働き方。「災害時だけではなく、海外にスタッフがいる場合や、産休育休を経て働きたい人など、自由度の高い働き方ができるため離職率が低くなり、その結果業務の生産性が向上する」(石村氏)と、現状にとどまらず推進すべき働き方だという。

 しかし不動産管理、仲介業務でのリモートワークには、さまざまな課題が存在する。石村氏は、リモートワークの課題として「システムの活用」「マネジメント」「業務の見直し」「その他」の4つを挙げ、「今回のように急遽リモートワークに切り換えて出てきたのは、社内システムの構築と入居者、オーナーの方の情報におけるセキュリティ対策、自宅にいる社員がどう基幹ソフトにアクセスするのか、という点だった」と話す。

 WealthParkでは、基幹システム、ノートPC、FAX、電話というオフィスでの環境を、ノートPC、スマートフォン、モバイルWi-Fiで構築。ノートPCからVPN接続で基幹システムにアクセスできる環境を整えた。石村氏は「情報の抜き取りが心配とよく言われるが、VPN接続後、個人認証のプラットフォームを使うことで、セキュリティを上げられる」と説明した。

 電話でのやりとりには、会社貸与のスマートフォンを活用。さらに「Amazon Connect」を使って顧客窓口をセルフサービスで構築する。「Amazon Connectはイニシャルコストが不要で、回線数を意識せず、必要なときだけPCを増やせるなどが採用理由。加えて重要だったがのが回線の割り振りができる点。社員のスキルによって、電話回答できるかどうかわからないため、だれから、どんな要件で電話がかかってきたのか、自動応答で対応し、それぞれの担当につなげている」(石村氏)とする。

 リモートワークは、好きな場所で働け、通勤が不要になることも大きなメリット。しかし実際には「意外に孤独」という声があがったり、マネジメント層からは「家にいるはずなのに電話に出ないので不安」と言われたりと、実際に導入してみたからこそわかる課題も見えてきたという。

 内勤者のリモートワークにおけるスケジュール例として、朝会、昼会、夕会の設定や、チームミーティングやランチミーティングなどの実施、オンラインセミナーへの参加などをして過ごす1日を紹介した。コミュニケーション不足を補うため、オンラインストレージやコミュニケーションツールを使っているという。

 石村氏は「リモートワークに役立つサービスカオスマップ2020年度版」を紹介したほか、以前実施したオンラインセミナーで不動産会社に各種ツールの導入検討状況のアンケート結果を発表した。それによると、チャットツール、グループウェア、ウェブ会議システム、勤怠管理システム、オンラインストレージは半数以上の会社で導入済みになっているとのこと。一方、セルフ内見システムやオーナーアプリ、オーナーポータルなどは、現時点の導入済み件数は少ないものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、「導入予定(または導入したいと考えている)」が増えてきているとした。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

関連キーワード

SHARE

関連記事

コロナで大打撃、フィリピンの語学学校のオンラインセミナー戦略とは?

2020.05.27

With/Afrerコロナでビジネスはどう変わるか第1回

コロナで大打撃、フィリピンの語学学校のオンラインセミナー戦略とは?

すぐに実践できる!テレワークでチームワークを高める秘訣とは?

2020.05.20

テレワーク導入の“壁”を解決第6回

すぐに実践できる!テレワークでチームワークを高める秘訣とは?

在宅勤務に潜む「情報漏えい」の恐怖をどう防ぐ?

2020.05.15

テレワーク導入の“壁”を解決第5回

在宅勤務に潜む「情報漏えい」の恐怖をどう防ぐ?

在宅勤務でやってしまいがちな「失敗あるある」と、その回避法

2020.05.13

テレワーク導入の“壁”を解決第4回

在宅勤務でやってしまいがちな「失敗あるある」と、その回避法

テレワークのセキュリティでの9つの疑問と回答

2020.05.12

IT&ビジネス最新ニュース第11回

テレワークのセキュリティでの9つの疑問と回答

モバイルはテレワークにどう活用できるのか?その特徴と注意点

2020.04.30

ケータイ業界の最新動向に迫る第78回

モバイルはテレワークにどう活用できるのか?その特徴と注意点

大林組のIoTシステムは、リストバンドで作業員の安全を守る

2020.04.28

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第40回

大林組のIoTシステムは、リストバンドで作業員の安全を守る