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「モバイルPASMO」の実現までに13年もの歳月がかかった裏事情
2020.10.27

IT&ビジネス最新ニュース第71回

「モバイルPASMO」の実現までに13年もの歳月がかかった裏事情

Suica、PASMOの次はどうなる?

 先ほど、AppleのモバイルPASMOに対する期待が高いという話を紹介したが、これを裏付けるデータがある。たとえば、JR東日本が出しているモバイルSuica会員数の推移をまとめたグラフによれば、Suica for Apple Payが提供された2016年10月以降、増加カーブが大きく動いている。

 JR東日本は2020年9月にモバイルSuica会員数が1000万を突破したことを報告しており、同時点でのSuicaカード発行枚数が8500万枚程度だと推定すると(3月末時点で8273万枚)、モバイル率は12%ほどとなる。2016年10月の時点ではカード発行枚数6000万枚に対して400万会員程度だったので、モバイル率は7%未満だ。

 モバイルPASMOは2つのプラットフォームを合わせてもまだスタートしたばかりだが、おそらくそう遠くない将来にモバイルSuicaに近い水準には落ち着くのではないかと考えている。PASMO協議会自身は「当面の目標はモバイルSuicaと同じ1000万会員獲得」を標榜しており、これに準じるならば20%程度の一応のゴールを設定していると予想される。

 もう1つの理由は、交通系ICカードの発行枚数シェアだ。現在の発行枚数をSuicaが8000万枚、PASMOが4000万枚とすると(実際には4000万枚目前)、第3位のICOCAは2000万枚強だとされている。4位のmanaca以降はICOCAの半分未満の水準であり、上位3種類のカードだけで日本全国の交通系ICカードシェアの9割以上、さらにSuicaとPASMOだけで8割以上のシェアを握っていることになる。

 この首都圏を中心とした2大ICカードがモバイル対応を完了させ、さらにユーザー数を加速させるApple Pay対応を行ったことで、モバイル端末における交通系IC対応は大多数のユーザーのニーズを満たせることを意味している。Appleとしても、PASMO対応がApple Payシェア拡大のうえで悲願だったと考えていいだろう。

 また、これは同時に「次はない」ということも意味している。続く最大勢力であるICOCAでさえPASMOの半分程度の発行枚数であり、採算性の面でかなり判断が難しいラインだろう。ICOCAそのものはPASMOとは異なり西日本旅客鉄道(JR西日本)という1企業が発行主体だが、追加投資と利用率を考えるとPASMOよりさらに判断が難しくなる。定期券利用などがなければモバイルSuicaだけで多くのニーズを満たせるため、あえてICOCAをモバイル対応させる理由も薄い。

 技術的ハードルをPASMOが越えた後なため、ICOCAのモバイル対応自体はそこまで難しくないと思うが、スマートフォンのプラットフォーマーとしても「これで充分」だと考えていると筆者は考える。それだけ、SuicaとPASMOを合算したシェアが圧倒的であり、交通系ICの利用が首都圏に偏っていることの証左でもある。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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