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視聴者に「離脱されない」オンラインセミナーの作り方は?–スライド準備や話し方にも注意
2020.09.17

IT&ビジネス最新ニュース第57回

視聴者に「離脱されない」オンラインセミナーの作り方は?–スライド準備や話し方にも注意

 長引くコロナ禍により、これまでリアルで開催していたイベントやセミナーを、オンラインに切り替えた企業・団体は多いはずだ。参加者の人数に応じた広さの会場を押さえる必要がなく、会場費もかからないうえに、開催日時の自由度が高いのは大きなメリット。インターネット回線さえあればどこからでも配信でき、視聴者の住んでいる場所に関係なく参加してもらえるのもオンラインならではのアドバンテージと言えるだろう。

 しかしその一方で、リアルでは気にする必要がなかったことも、オンラインでは大きな課題となって立ちはだかることも少なくない。たとえば、段取りよく複数人の登壇者に発言してもらうにはどうすればいいのか、必ずしも大画面で視聴しているとは限らない参加者に対してスライド資料をどう見せるべきか。こうしたノウハウは回数を重ねないと身に付かない部分でもあるが、オンライン開催の歴史が浅い現状では何が正解とも言い切れない難しさもある。

 今後ますますオンライン化の流れが強まっていくことが間違いないイベント・セミナーをうまく作り上げていくには、どのように準備し、何に気を付ければ良いのだろうか。デジタル名刺のパイオニアであるSansanの広報・マーケティング部門の立ち上げに携わり、現在は複数社のコンサルティングなどを手がけているkipples代表の日比谷尚武氏に、月に20回近くオンラインイベント・セミナーを企画・開催・登壇している経験から、視聴者を飽きさせない準備・運営のテクニックを聞いた。

登壇者の人数、配信時間はどれくらいが最適?

——日比谷さんは、さまざまな肩書きをお持ちかと思いますが、現在はどのような活動をメインにされているのでしょうか。

 簡単に言えば、広報やマーケティングのコンサルテーションを通じて、その企業・団体の課題解決や価値最大化へとつなげるお手伝いをしているというところです。2016年まで、創業期のSansanで広報部門、マーケティング部門の立ち上げに携わった後は、エヴァンジェリストとして講演などを行ってきました。また、公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会という広報の業界団体では、その広報委員会副委員長としてスタートアップ向けの広報勉強会を開催してきました。渋谷区の社会課題を解決する「渋谷をつなげる30人」などのプロジェクトにも4年間ほど関わっています。

——そういった仕事のなかで、おおよそどれくらいのペースでオンラインイベントやオンラインセミナーを実施しているのでしょう。

 関わり方としては3つありまして、自分自身が登壇することもあれば、一般の視聴者として参加することもありますし、企画のお手伝いをすることもあります。登壇するのは週に1〜2回、参加するのは週2〜3回で、企画などで関わるイベントは月に5つくらいです。

 以前からリアルイベントで登壇したり、イベント自体を企画したりすることはよくありました。新型コロナウイルスでこのような状況になってからは、オンラインになって企業としてもイベントが開催しやすくなり、それに関する相談件数も増えています。一方で、リアルイベントじゃないと意味がないとして中止になっているものもあり、トータルで考えるとコロナ前後で件数としてはあまり変わっていませんね。

——月に20回くらいはオンラインのイベント・セミナーに関わっている計算ですね。かなり頻度が高いと思うのですが、そのなかで日比谷さんなりに心がけていることはありますか。

 まず大前提として、視聴者は「飽きる」ということです。みなさん薄々気づいていると思うのですが、じっとPCやタブレットの画面を見続けるのは集中力がいるんですよね。そして、今やYouTube、Netflixなどで動画慣れしていて、画面に向かい合うのが当たり前になり目が肥えてきている。だから、オンラインセミナーを視聴する時も最初は緊張して視聴いたかもしれませんが、慣れた今となっては、構成がまどろっこしい、話がわかりにくいとなると、離脱しやすいわけです。脇でメールしたり、複数のイベントを並行で視聴したり、もしくはゲームしたり、なんてことをし始める可能性があります。

 リアルイベントだとせっかく会場に来たし、周りに人もいるし、関係者もいたりして緊張感もあるから、多少イベントが中だるみするようなことがあっても即退出、なんてことはしにくい。でも、オンラインはそうではないので、いかに視聴者に飽きさせないかが大事なわけです。

——たしかに、オンラインセミナーでは、視聴者が「離脱」するハードルが圧倒的に低いですね。では、その上でどのような工夫が求められてくるのでしょうか。

 たとえば、登壇者の人数とスタイルですね。登壇者はモデレーターを含めて3人程度にして、基本は「詰め込まない」「スロット(発言者の交代など)を細かく切る」ということを意識しています。リアルでもそうですが、登壇者が多いセミナーは話の内容が発散したり、1人1人の話が薄まりやすい。また、登壇者同士の会話にならず、モデレーターと登壇者1人ずつが対話するような、独立した話題の繰り返しになってしまいがちなんですよね。

 リアルの会場だとそれでも、先ほど言ったような理由もあって「なんとなく聞くか」と諦めもつきますが、オンラインだと露骨に粗が目立ってきてしまう。なので、最近は登壇者はなるべく少なくして、登壇者1人1人の話を引き出して、落ち着いて話せるように、ということを心がけています。

——「3人」としているのは何か明確な理由があるのでしょうか。

 今のところやりやすいのが3人だと思っています。モデレーターと登壇者1人の1対1だと(会話における)視野が狭くなってしまうので、3人は必要かなと思っています。進行役とメインで話す人、会話の引き出し役というような形ですね。

——そうすると、モデレーター1人と登壇者2人という形でもないですね。

 そこがミソで、あらかじめ構成や話す内容を決めていればメインの登壇者が2人いてもいいと思うのですが、結局のところイベントのトータルの長さは1時間が精一杯かなと考えています。30分でメインを終えて、あとはインタラクティブな(Q&Aなど視聴者との対話の)時間に15分、残りは予備として15分といった感じで。メインは30分に収めないと見てもらえないのではないかと。

 そこで、もし登壇者が2人いるとすれば、1人あたり10~15分しか話せないことになります。そうするとモデレーターはコメントできないですし、イベントとして納得感も出にくい。なので、メインで話す人は1人にしたいわけです。ただし、メインの人に質問したり、ディスカッションで話を引き出したりして、難しいポイントを解釈する間を設けることにしているんですが、そのときはメイン1人だけだと視野が狭くなるので、引き出し役としてもう1人置くと。

 テレビ番組でも、メインのジャーナリストが難しい話題をわかりやすく説明して、ひな壇の人がコメントしたりしますよね。そこでタレントがあえてとぼけた質問をしたりとか、頭の切れる人が鋭い質問を投げかけたりとかして、テレビの視聴者が気になっている事柄をいろいろな角度から掘り下げることで理解を深められる。それを意識する感じです。

——人数は少なく、時間も長くならないようにするのが秘訣ということですね。

 ただし、どうしても登壇者を複数人にしたい時もあると思います。その場合は、前半は1人が話して、後半にもう1人が話す、というような構成であれば、前半の人を残したまま一緒に画面に映ってもらうようにしていますね。相づちや質問をしてもらって、話の引き出し役になってもらうんです。登壇者は自分の出番じゃない時は暇だったりするので、なるべく参加してもらって待機時間を少なくしたいなと。話を聞いていないとその後のパネルディスカッションなどで困るはずですし、そうならないためにも役割を与えてあげるのがいいんじゃないかと思います。

——たとえば、特定のテーマに関するセミナーを開催する時、集客力を高めるために、詳しい専門家を複数人登壇者として招いたり、企業にスポンサードしてもらうことで内容の充実を図ったり、という考え方もあるかと思います。

 僕としては集客のために登壇者やコンテンツに影響を及ぼさせるのには反対の立場です。それで集客できなくて困るなら、メールマガジンや広告でしっかり宣伝するなど、登壇者・コンテンツ以外のところで頑張った方がいいと思います。そもそも、その内容が響かない人に無理矢理コンテンツを見せても、そこで取ったリードは本来のターゲットじゃないでしょ、と思うからです。

 スポンサードコンテンツについても、スポンサーの目的がリード獲得なら、スポンサーの色を出すよりいかに面白い内容にするかに特化したほうがいいですよね。ブランディングや認知を変えたい、あるいはサービスの解釈をより深めさせたいような時は、その企業ではなくユーザーに語ってもらうとか。

 あとは、オンラインイベントでもプレースメント(コンテンツ内に商品やサービス、広告を掲示する訴求方法)は効くと思っています。動画に適切なテロップや背景ロゴを入れるのも1つの手です。スポンサーに講演やディスカッションの枠だけ提供して「あとはどうぞお好きに」みたいな内容だと、やはり視聴者は飽きてしまうと思うんです。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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