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レストランは「答え合わせ」の場所に–格之進が開拓する今後の外食産業のあり方
2020.09.14

IT&ビジネス最新ニュース第55回

レストランは「答え合わせ」の場所に–格之進が開拓する今後の外食産業のあり方

飲食店は「顧客体験」ができる場所へ

――格之進のようなオンライン化の取り組みまで追いつくのは難しいお店もまだ多いと思いますが、飲食店は今後どう変わっていくと考えていますか。もしくはどのように変革していくべきでしょうか。

 飲食店は「顧客体験」ができる場所、というところに寄っていくと思います。サービスをただ単に享受するところから、お客様が自分で何かできるような、主体的なサービスができるところにいくのでは、と。たとえば格之進オンライン肉会でも、焼き方1つ違うだけでおいしさが全然違うとおっしゃってくださいます。これを私たちは「ミート・ライフ・バリューが上がる」と言っているんですけども、お肉をおいしく食べられる方法を知ったことで生活における喜びが増えるんですよね。

 格之進オンライン肉会では、素材の知識を得て、調理方法を知ることができます。そうすることで「おいしさの因数分解」ができるようになる。他のお店に行ったときにも違いがわかるようになって、どうしておいしいのか、おいしくないのかが推測できるようになる。おいしいものを食べられることもレストランの価値の1つではあるんだけれど、「おいしさの因数分解」ができるようになるという体験が得られるところにも価値が出てくるんです。

 オンライン化で通勤などの移動時間がなくなり、いろいろなことに対して時間効率が良くなれば、他のことに時間を費やせるようになる。それで動画を見る人も増えていると思うんですが、個人の趣味嗜好に合った最適なものを選べる余裕が出てきたとも言えます。だからこれからは「顧客体験」が非常に重要になってくると思うんです。

――「おいしさの因数分解」というお話がありましたが、店舗側はそれをどうやってビジネスにつなげていくかが肝になるかと思います。

 飲食店を訪れて食事する価値は、これまではほとんど「おいしい」ということだけでした。しかしオンライン化することで、「おいしさ」以外にも「レシピ」「料理方法」「素材の情報」という価値も与えられます。これをいかにマネタイズしていくかが重要です。

 その3つの要素をもとに「おいしさの因数分解」ができるようになったお客様なら、理論的には自宅でお店の味を再現できるということになります。ただ、レストランから料理・調理の方法を教わって、同じ食材も手に入ったら、レストランはもういらないのかというと、やはりそうはならない。同じレシピでも細かな手順が違えば味は変わってきますよね。

 ですから、お客様が自分で料理し、味わってみてから、その後に店舗へ「答え合わせ」に来る。それが普通のレストランでの食事の楽しみ方になるんじゃないでしょうか。半年後、あるいは1年後にはそれが主流になっていくと私は思ってるんです。

 もちろん飲食以外のところでも同じようなことが発生すると思うんですよ。たとえば美容室もそうかもしれません。いろんな産業で応用できると思うんです。重要なことは、消費者の思考・行動がどう変化していくのか、何の価値が高まっていくのか、というところを読み取って、そこに対して動いていくことだと思うんですよね。

――リアルでは簡単に伝わることも、オンラインだと難しかったりすることがあるような気もします。そういったボトルネックになりそうなところをオンラインに感じてはいませんか。

 オンラインにボトルネックがあるというのは、ほとんどがその人の思い込みだと考えています。先ほども言ったように、リアルとオンラインを隔てる壁はなく、単に脳による認知の差なんです。これからは確実にオンラインが主体になっていきます。そんななかで「やっぱりリアルじゃないと」と思い込んでいる、そういう人たち自体がボトルネックになりかねないな、と思っているんです。

 はっきり言うと、ボトルネックがあるとは思っていないのですが、強いて言えば「香り」ですね。おいしさの構成要素って50%が視覚で、30%が香り、10%が食味、残りの10%が食感と言われています。その30%の香りがオンラインだと共有できない、というところ。もちろん同じお肉が互いの手元にあれば香りも共有できるので問題ないのですけどね。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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