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レストランは「答え合わせ」の場所に–格之進が開拓する今後の外食産業のあり方
2020.09.14

IT&ビジネス最新ニュース第55回

レストランは「答え合わせ」の場所に–格之進が開拓する今後の外食産業のあり方

リアルの店舗は不要になるか?

――新型コロナウイルスの影響があった以前と以後とで、格之進におけるデジタル活用は大きく変わってきたと。

 従来のデジタル活用は、ウェブ上で情報を提供し、検索エンジン上位に表示されるよう評価の高い状態にして、お店の売り上げにつなげるというもので、それが一般的な構図でもありました。しかし今回の新型コロナウイルスの問題を機に、そうした「デジタル化」から「オンライン化」へと進化していっていると思います。

 デジタル化とオンライン化、この2つは同じような意味に思えるかもしれませんが、少し異なります。食というのはリアル、アナログ的なことです。家族や友人と同じ場所に行き、同じものを食べ、同じような体験で共感・共有・共鳴する。これらはリアルの店舗でしかできないと思い込んでいました。結局のところ飲食関連のデジタル化というのは、お客様が店舗に来る前までの部分を指していたわけですね。

 ところが新型コロナウイルスによって、リアルの店舗に来ること自体がNGになってしまった。そんなときに、コロナ以前からビデオ会議ツールのZoomで飲み会やお花見などを実践していた天才プログラマーとしても知られる清水亮さん(ギリア代表取締役社長兼CEO)の先見の明に触れた。

 また、VRゴーグルのハコスコなどでVR/ARに取り組んでいる脳科学者でもある藤井直敬さんと話をして、リアルとバーチャルを隔てているのは脳における認知の差でしかないことにも気付かされました。それで食の体験を共有する場合であっても、リアル店舗が必須というわけではなく、オンラインでもできるんだと感じたんです。

 たとえばお肉がみんなの手元にあれば、体験の共有は可能です。Zoomなどを利用して、離れた場所にいるお客様と一緒に同じ商品を扱いながら、肉に関する知識、焼き方のテクニックなどを教えるようにすればいい。それが格之進オンライン肉会という発想につながりました。コロナ禍以降、飲食店においては、デジタル化から一歩進んだこの「オンライン化」が鍵になると考えています。

――リアルにはないオンラインの良さは、どこにあると考えていますか。

 今日のこの取材のために、みなさん事前にどの服を着ようか考えましたよね?もしオンライン取材だったら、その服を選んでいたかというと、きっと違うと思います。ここだけの話、自分もZoom会議だったらズボンをはかないで、ほとんどパンツ一丁ですよ(笑)。リアルで会おうとするとそれに向けて自分を作ってくると思うんです。言い換えると、オンラインになるとみんなリラックスできる。リラックスすれば意思の疎通もしやすくもなる。

 つまり、リアルよりオンラインの方がより人間的なコミュニケーションに進化できる、と言えます。そう考えれば、リアルで会うよりオンラインの方が本当のコミュニケーションができるような気がしませんか?オンライン化がどんどん進んでいけば、人間としてのコミュニケーションがより深まる、本当の意味での素のコミュニケーションが取れるような社会になっていくんだろうな、と思います。

 リアルの方がいいことも当然多いですよ。会食するためにレストランまで足を運んで、相手と時間を共有する、あるいは自宅ではできない特別な体験をする。それはそれでいいことだけれど、オンラインでは互いに本当の、素のコミュニケーションがとれる。そこに向けてどういったサービス展開ができるかを考えることが飲食店にとっては重要ではないか、と思うんです。

――そうしてオンライン化が進み、客がオンラインで満足してしまうと、リアルの店舗は不要になっていくという見方もできるのではないでしょうか。

 必ずしもそうはならないと思います。実際のところ、すでにグルメサイトの登録店舗が、日本全国でかなりの数減ってきているという話を聞いていますし、もちろん、当社もいまだ休業中の店舗があって、なかには閉店を検討しなければならないところも出てくるかもしれません。

 ただ、今は店舗自体の価値、用途が大きく変わっていくタイミングだろうとも思っているんです。たとえば店舗を料理教室の場所にしたり、自宅でレストランの料理の再現性を高めるための講座を店舗で開催したり、ということも考えられますよね。

 家庭におけるレストラン体験みたいなものが今すごく求められているのもひしひしと感じます。ですので、ブロック肉を買ってもらったお客様に対して、お肉を包丁で切るところからオンラインで教えます、といった内容のオンラインセミナーも計画しています。10kgのブロック肉を格之進で購入してもらうと、一般のお肉屋さんで同等の品を買うよりずっと割安です。しかも自分でカットして焼き肉にすれば少なくとも20人前にはなるので、家族や親戚、友人を集めて振る舞えばいい。10万円だとしても1人5000円、格之進の標準的なコース料理の半額で楽しめるのです。

 そういったオンラインセミナーも実現できれば、六本木にあるこの店舗を「格之進肉学校」と命名した意味も出てきます。格之進のお肉を自宅で体験したお客様が、「いずれは六本木や、岩手の本校(本社)にも行って味わってみたい」と思ってくれるかもしれない。お肉食べ歩きの聖地巡りのようになれば、地方創生、地域活性化にもつながるのではないかと想像が膨らみます。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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