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“食意識”をデータ化し「食のOS」をつくれ–ニチレイ初のフードテックが本格始動
2020.08.27

IT&ビジネス最新ニュース第49回

“食意識”をデータ化し「食のOS」をつくれ–ニチレイ初のフードテックが本格始動

AIで消費者の食の嗜好を分析し献立に生かす

 食品メーカーとしてニチレイは、食に関するさまざまな研究を行っているが、そのなかでも美味しさについては、味、香り、食感といった品質が及ぼす影響のみならず、心理的な影響から個人差が大きく、個人の味の好みを定量化することは難易度が非常に高いものだったという。

 conomeal kitchenの中核を担う食嗜好分析には、同社と中央大学理工学部が共同研究した「心」を見える化する分析技術「心理計量学(サイコメトリクス)」が用いられている。それにはどのような特徴があるのだろうか。

 「調査をすると、必ず『献立を決めるのが大変』という悩みが上位に上がってくる。献立の情報自体はたくさんあるのに悩むのはなぜかと考えたところ、『選び出すのが大変』ということに気付いた。選ぶためにも『暑いからさっぱりしたものがいい』、『今日は誰々がいるから何にしよう、この素材はやめよう』などキーワードが必要になる。AIの食嗜好分析によってある程度絞り込んで提供することが、献立の悩みに対する価値になると考えている。献立を決めても、買い物や作る作業といった工程が残っている。ストレスを減らすために、時短で作れるようにサポートするのがポイント」(関屋氏)

 スタート時点でのレシピ数は350レシピで、主菜と副菜が1対2程度の割合だという。他のレシピサイトと比べると少ないようにも思えるが、「必要最低限、飽きのこないメニュー数に絞り込んだ」と関屋氏は語る。今後は季節に合わせたメニューなども増やしていく予定とのことだ。

これまでにはなかった消費者との直接の接点をつくる

 そもそも、なぜ食品メーカーのニチレイがconomealという新規事業をスタートしようと考えたのか。そこにはメーカーとしての大きな危機感があった。

 「食の産業構造は利益がなかなか出ないなど危険な状況にある。サプライチェーンの隙間に入っているデジタル企業が大きな利益を得られる環境になりつつある今、食品メーカーとして何ができるのか。食品メーカーだからこそできるデータの活用をしたいと考えた」(関屋氏)

 ニチレイは消費者の口に入る食品を製造しているものの、卸を経由して小売業が販売するという商習慣で事業を行ってきた。そのため、一般消費者とのタッチポイントがなく、食に対する意識や傾向などに関するマーケティングを直接できなかった。簡単な質問に答えるだけで自分の食嗜好を分析して献立を提案してくれるconomeal kitchenを提供することで消費者との直接の接点をつくり、食に対するさまざまなデータを収集し、サービスの向上や商品開発などに結びつけていく狙いだ。

 「たとえば当社の商品を購入された方が、なぜそれを購入したのかという理由を購入したそのタイミングで把握することは難しい。同じ商品でも、購入する理由は人によって異なり、それを理解することで次に提案するものも変わってくる。それをやりたいと考えたときに、まずは食のタイプを知ろうと考えた。ある食の嗜好を持つ人たちが実際に何を選んでいるのかというデータがたまってくると、買う『理由』と買った『結果』が分かってくるので、今までにない、これまでの食品メーカーにはできなかったマーケティングができるようになるのではないかと思っている」(関屋氏)

 conomeal kitchenのメインターゲットは30代〜40代の家族がいる女性と40代の男性で、どちらも週4回以上は料理をしている人だという。では、どのようにしてターゲット層に訴求していくのか。

 「conomeal kitchenを使うことで自分の時間を有効に活用できることが提供価値としてターゲット層に響くのではないかと考えている。現在(新型コロナウイルス禍)の環境下においては作り置きをする方が無駄な買い物をせずに済むため適切だと思うし、フードロスの低減にもつながる。そうした課題意識を持って生活を送っている人の方が、食の体験そのものを幸せに感じるというリサーチ結果もある。なので、なるべく経済的で、無駄なものを使わずに、上手に情報を使うことが幸せにつながるとすれば、このアプリの訴求ポイントになるのではないかと思う」(関屋氏)

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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