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紙とハンコ、ワークフローの「あたりまえ」を考え直す–電子化への課題と対応策
2020.05.29

IT&ビジネス最新ニュース第18回

紙とハンコ、ワークフローの「あたりまえ」を考え直す–電子化への課題と対応策

「テレワークできる業務がない」は本当か

 これまで働き方改革が叫ばれてきているなかで、一度は既存の業務を家からできるかどうか、皆さんも考えたことがあるだろう。しかしこの現状を見る限り考えた結果、できる業務は少なかった、またはほとんどなかったという結論に至ったと拝察する。今回はここでもう少しの原因を分解して考えていくことにしたい。

 テレワークができるようになるには業務の電子化、それから何よりも慣習や風土として根付くことが必要だ。前半の電子化については2つのタイプの電子化がある。もしこれまでテレワークができる業務がないと考えていた人は、次の3つのいずれかがハードルとなっていたのではないだろうか。

(1)1つ1つの書類やハンコの電子化ができなかった
(2)ワークフロー、業務プロセスの電子化ができなかった
(3)社内外からの抵抗

 1および2と、3は毛色が違う理由だが、それぞれに対応できるツールや対応策について以下で順を追って解説していきたい。

1つ1つの書類やハンコの電子化
 最近行われた市場調査の結果を見ると、押印業務のために出社せざるをえず困っている方は多いのではないだろうか。先日は竹本IT政策大臣の発言を受け、GMOが即ハンコ廃止に動いたことが話題になったばかりだ。

 この対応の通りまずは紙の書類をなくすこと、そしてハンコをなくすこと、その他オフィスに出向かなければアクセスできない情報やシステムなどを、できる限り少なくすることから電子化を始めていくのはテレワークへのファーストステップと言える。

 前述した通り、テレワークは「オフィス以外の場所でどこからでも働ける働き方」なので、オフィスに出社している人と出社していない人とで情報格差が生じ、それによって仕事の成果に支障がきたすということを防ぐ必要がある。もっというと評価制度も出社する/しないによって差が出ないよう設計するか評価をする必要がある。

 これは例えばoffice系でドキュメント作成してストレージサービスなどで共有、運用、管理をすれば対応できるだろう。もう少し大規模で、あるいはセキュリティの心配があるという方、ツールも使いこなせる方はグループウェアを導入すれば、より使い勝手はよくなるだろう。

ワークフロー、業務プロセスの電子化
 テレワークへのセカンドステップは、目に見えない仕事の流れを電子化することだ。簡単にではあるが、ワークフローとは「1つの業務の流れ」、業務プロセスは「ワークフローが複数つながってより大きな業務の流れ」と、ご理解いただければよいだろう。

 前段で紙の書類やハンコなどを電子化したはいいものの、それだけではテレワークを実現するのは難しいだろう。というのは仕事は例えば契約、申請、発注、依頼、共有など社内外でさまざまなコミュニケーションの流れの中で動いているものだからだ。このコミュニケーションと業務が流れる流れも電子化できなければ、紙をワードに切り替えてもメール添付で送付→受領した側が印刷、PDF化して送付(または印刷して郵送、FAXといったこともありえる)といった状況になり、これではテレワークができているとは言えない。

 このような時にはワークフローシステムの導入を検討してみるのをおすすめしたい。あるいは、ワークフロー機能がついているグループウェアや、チャットツールも組み合わせて活用できればさらに社内コミュニケーションは円滑になる。

 特に大規模な組織においてはいずれかのツール導入をおすすめしたい。というのは電子化によって大規模組織特有の「見えない仕事」が可視化ができ、減らすことができるからだ。

 この「見えない仕事」というのは厄介で、不在がちな人をわざわざ社内で待って押印をお願いする、依頼はしたものの実は忘れ去られていて数日経ってしまった、リマインドのためのメールを打つ、そのリマインドの予定を自分のスケジュールに入れる……など、いずれかの状況を経験したことがある方は少なくないはずだ。

 組織内の関係各所へ依頼や共有、決済などを自分から発信する場合、発信者はステータス管理や根回しも行う必要がある。そのためぜひワークフローで電子化し、できるなら通知やリマインドなど、いわゆるオフィスで「あの件、お願いします」という声かけまでを自動化するのを検討いただきたい。そうすれば業務効率化になるばかりか、「見えない仕事」をテレワークでも実施できるようになるはずだ。

 もう一つだけ付け加えるのであれば、業務の流れをメールで行うのはあまりおすすめしない。というのはメールボックスは属人化してしまうからだ。メールボックスに溜まったメールの情報やデータは他の誰も確認することができない。オフィスで「誰々さんがあの人にこういう依頼していたな」、「この件について話していたな」は全て各種ツールのオープンな場でテキストやワークフローを開始して残しておくしか、自分の仕事を認知してもらう手立てがないのだ。

 ビジネスチャットなど新しいツールを使えば、メールで「送った/送っていない」といったコミュニケーション齟齬も回避でき、オフィスにいなくても仕事の状況を関係者全員が把握することができるようになる。

社内外からの抵抗
 ここまで物理的な障壁をどうするかということをお伝えしてきたが、最後に心理的な障壁についてお伝えしていきたい。おそらくこれがテレワークを阻む最大のハードルなのではないだろうか。

 テレワークができない理由は、挙げればキリがない。社外で言えば「お客様が対応していない」が代表的な理由だろう。対社内の理由は「経理部門、人事部門が拒否する」、「これまで紙でやってきて今さら変える理由が見当たらない」という理由もあるかもしれない。提案している本人も、もしかしたら提案しながらもうちではその風土はない……となかば諦め気味かもしれない。
 
 このコロナ禍が始まってから、「業務のDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル化)を進めたのはCEO、CTO、COVID-19のどれかー答えは3番目ー」という画像を目にしたことがある。これまで社内のトップらが推進してきたものの、皮肉にもコロナ禍が一番効果があったという皮肉が込められている。

 一番厄介とも言える心理的なハードルに対する対応策は、皮肉と言われてもこの事態をある種“言い訳”にして、これまでやってこなかったことをやってみるということだ。“言い訳”はあなどれないと考えている。実際にこれまでテレワーク・デイ(ズ)などキャンペーン的にテレワークが一斉実施されたことがあった。恐らく「みんながやるなら」、きっと実施はできなくはないのだ。過去断念した記憶は一度忘れていただき、まさに今、皆さんの声を上げていってほしい。

※この記事はCNET Japanから配信されています。

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