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DXの潮流、CDOの挑戦
2020.11.25

革新的新薬の創出に向け、中外製薬が社運を賭けて挑むDX

中外製薬株式会社 執行役員 デジタル・IT統轄部門長 志済 聡子 氏

中外製薬株式会社 執行役員 デジタル・IT統轄部門長 志済 聡子氏

 中外製薬は2020年3月に「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を発表し、デジタル技術を駆使してビジネスを変革し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターとなるとの目標を打ち出しています。この目標に向けて同社は全社を挙げてDXに取り組み、AIをはじめ最先端のデジタル技術と、多様かつ大量のデータを取得・解析し、新薬開発プロセスの革新と「真の個別化医療」の実現を目指しています。その舵取り役を任されたのが執行役員 デジタル・IT統轄部門長の志済聡子氏です。同氏はデジタル化の推進により、この1年で「明らかに社内のモメンタムが変わった」と、手応えを口にします。

【中外製薬について】

中外製薬は、独自の抗体エンジニアリング技術の確立をはじめ、低分子を含む多様な創薬モダリティでの研究基盤を背景とした高い創薬力で、世界的な評価を得ています。国産初の抗体医薬品アクテムラをはじめ、同社創製の3つの医薬品の年間売上高は計5,000億円(中外製薬を含むロシュ・グループの世界売上高)を超え、今年も新たな抗体医薬品を国内外で新発売。その盤石な基盤をさらに強固にすべく、中外製薬は「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」というDX戦略を策定し、これまで培ってきたバイオを始めとした独自のサイエンス力・技術力に、最先端のデジタル技術を掛け合わせ、自らのビジネスを変革し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになることを目指しています。

デジタル技術を活用した革新的な新薬創出へ

 中外製薬が聖域なきデジタル化に邁進する最大の目的は、デジタル技術を活用した革新的な新薬を創出し、「真の個別化医療(遺伝子レベルで患者個々の体質・病気に最適化された治療法)」を実現することにあります。そのゴールへ到達するビジョンをまとめたのが、2020年3月31日に発表された「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」です。

 「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」には、2030年までに『デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターとなる』という目標を達成するための基本戦略として、『デジタル基盤の強化』、『すべてのバリューチェーン効率化』、『デジタルを活用した革新的な新薬創出』の3つが掲げられています。

 この意欲的なビジョン策定に重要な役割を担ったのが、代表取締役会長の小坂達朗CEO(中外製薬株式会社 代表取締役会長 最高経営責任者 小坂 達朗氏)自らがヘッドハンティングした執行役員 デジタル・IT統轄部門長の志済聡子氏です。

 「最初にお声がけいただいたときは、デジタルマーケティングに取り組まれる程度だと思っていましたが、小坂CEOは『創薬をデジタルで変えたい』と本気でおっしゃいましたので、正直驚きました。創薬は会社のコアであり、そこを変えることは社運にかかわる重要なディシジョンだからです。しかも、対象はR&Dに止まらず、全社のデジタル化で投資を最適化するとおっしゃいましたので、これは私も覚悟して取り組まなければならないと感じました」

中外製薬のDX戦略を象徴する「CHUGAI DIGITAL」のロゴマーク

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