パーソルグループにおけるCDOの役割とミッションについて友澤氏に伺いました。
「パーソルグループは人材派遣、人材紹介、HRテック系、ITアウトソーシング、コンサルティング、エンジニアリングなど幅広い事業を展開しています。そのすべての事業で横断的にデジタル化を進めることは、CDOの大きなミッションです。また、人材サービスは機微性が高いデータを扱うのでデータガバナンスを強化しなければいけません。ただ守るだけではなく、それを一歩も二歩も進めてデータをサービスに活用していくことも、私のミッションのひとつです」
DX化が進む中、さまざまなテクノロジーが生まれていますが、その中から友澤氏が今気になっているキーワードを教えていただきました。
「AIは、これまでデータサイエンティストら専門家が扱うテーマでしたが、DataRobotさんが出されたソリューションのように、これからはAIを民主化するアプローチが進むと考えています。民主化されたAIをどうビジネス側で活用するかは、個人的にとても興味があります。あと次世代RPAとか、IPA(インテリジェンス・プロセス・オートメーション)も気になります。IPA + AIが派遣業や人材紹介業の競合になるのか、デジタルワークフォースといわれる人とデジタルを組み合わせる考え方がどうフィットするのか、詳しく知りたいですね。ほかにも、秘密計算やブロックチェーンもデータガバナンスの視点から考えなければいけないテーマです。
もっと身近なところでマチュアなテクノロジーを活用したDXは、今、私が頭を悩ませているテーマです。たとえば、AIチャットボットでいうと、チャット自体はマチュアですし、AIでやっていることも意外とif-thenですし、それをどういうバランスで事業に展開するかという話になります。こういったマチュアなテクノロジーの活用についても、並行して考えていきたいですね」
最後に、今後のパーソルグループの成長戦略や事業展開についてCDOの立場からお話ししていただきました。
「『はたらいて、笑おう。』というグループビジョンの実現に向け、世の中のすべての“はたらく”に関わる人たちを笑える状態にすることが最大のミッションであり、成長戦略です。
デジタルを絡めた話でいうと、アナログ世界の課題って煎じて煮詰めると結局サイロ化だと思うんですね。人も組織もサイロで完結し、情報が外に出ない、出せない、言語化もやりづらい、それがアナログのよさですが、大きな課題でもあると思います。日本と海外のサイロ、組織におけるサイロ、事業におけるサイロ、そういうものを崩していくことが、成長戦略の重要なテーマになると思います。それを、いろいろな人たちの『はたらいて、笑おう。』につなげていきたいですね」
DXというと、多くの企業はAIやRPAなどテクノロジーに捉われがちで、肝心のチェンジマネジメントに取り組めないことが、DX停滞の原因といわれています。パーソルグループは、ツールではなく人材にフォーカスすることで、多くの企業のチェンジマネジメント、イノベーションに貢献する仕組みづくりを進めており、このような仕組みをうまく活用することが日本のDX推進のキーになるのかもしれません。