DXの潮流、CDOの挑戦
2020.03.25
パーソルホールディングス株式会社
人材業界のディスラプトをリードするパーソルのDX戦略
パーソルホールディングス株式会社 Chief Digital Officer 兼 グループデジタル変革推進本部 本部長 友澤 大輔 氏
既存事業をディスラプトする覚悟で新規サービスを立ち上げ
友澤氏は「2025年までに人材業界のディスラプションは加速する」と人材業界の近未来を予測します。変革の核となるのは、やはりデジタル化です。ディスラプションによる最大の変化は競争相手が、同業者に限らないことです。
「2019年頃から急速に業界の風景が変わり始めたとかんじています。わかりやすい例はUber Eatsさんです。人材業界とは縁もゆかりもなかったテクノロジードリブンな会社が業界に参入したことで、派遣やアルバイト領域に大きな変革が起き、“はたらく”の意味が変わりはじめています。おそらく2025年くらいまでは相当なスピードで変革が進むと思います」
HRテックと呼ばれるスタートアップ系企業が次々誕生し、人材ビジネスのマーケットは、今、激動の時を迎えています。そうした環境変化を受け、パーソルグループも新たなサービスの立ち上げを急いでいます。
「人材紹介では、スマホアプリで簡単に登録でき、経験やスキルから市場価値を知ることができ、企業から直接オファーを受け取れる転職求人サービス『ミイダス』を始めました。 ほかにも、スキマ時間を使ってスポットで働ける『シェアフル』も立ち上げました。これらのサービスは完全にベンチャーとの戦いを見据えたもので、極端な話、グループの既存事業をディスラプトしてもいいぐらいの覚悟で展開しています」
DX推進は、強烈なトップダウンか、CxOによるサポートが不可欠
「DXに成功した会社には共通項があります。それはトップによる強烈なオーナーシップとリーダーシップです。トップ・オブ・ザ・トップがオーナーシップを持ちハレーションを起こしてでも、グイグイ進めていける企業は、変革に成功していますね。一方で、トップのオーナーシップが薄い『THE日本企業』で、うまくいっているところはあまり見かけません。その最大の要因は、デジタルはアナログの敵だと考える人が『チェンジモンスター(人間的・感情的なものからうまれる変革に対する阻害要因)』となって変革を止めてしまうからです。
トップダウンが難しい企業でDXを進めるには、そこを先導するCxOの存在がキーになります。しかし、多くの企業は、CxOの採用がうまくいかなかったり、育成方法もわからなかったり、多くの問題を抱えています。もちろん、我々のエージェント事業はそうしたニーズにお応えできますが、とはいえ人材不足は否めません。基本的には部長職または本部長職で採用して、育成してCxOに上げていくやり方が多いと思います」と、友澤氏はDXが進まない理由を分析します。
社外からCxO人材を獲得することが難しいのであれば、重要になってくるのは社内の部長、本部長、デジタル人材に対するリカレント教育です。
「我々が提供する『TECH PLAY Academy』というDX人材の育成を担う教育プログラムは、多くのお客さまから大変好評をいただいています。これはオンサイトで今いらっしゃる社員の方々を教育させていただくプログラムで、現在はIT人材に限定されていますが、今後IT系以外の職種の方にもAIを使いこなすスキルを提供するプランなど、幅広いプログラムを提供することを考えています」